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  • 内堀伸健 氏
    内堀伸健氏略歴
    1985年日本生活協同組合連合会に入協。1997年商品検査センターに就任、2005年より同センター長に就任。2007年より執行役員・品質保証本部長、15年より総合品質保証担当、現在に至る。

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  • 東京オリンピック・パラリンピックが開時される2020年を見据えたHACCP制度化(義務化)の準備が進められている。厚生労働省は、2014~2015年に「食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会」(山本茂貴座長)、2016年に「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」(五十君靜信座長)を設置し、HACCP制度化の方向性について検討。昨年12月には「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」の最終とりまとめが公表され、すべての食品等事業者を対象にHACCPを義務化する方向性が示された。

    しかし、現状では国内でのHACCP導入率は3割程度(※)にとどまっており、HACCP義務化に向けた課題は山積している。そうした状況下、すべての食品事業者がHACCPに取り組む意義とは、どこにあるのだろうか? 2つの検討会で委員を務めた日本生活協同組合連合会・品質保証本部の内堀伸健氏にうかがった。

    ※農林水産省「HACCP導入状況の実態調査結果」によると、食品製造業におけるHACCPの導入状況は28.9%(平成27年10月1日現在)。


  • 食品安全はメーカーの努力だけでは確保できない

     

     

    ――2018年の通常国会でHACCP制度化(義務化)を盛り込んだ食品衛生法の改正法案が提出される見通しといわれています。いよいよHACCP義務化が具体的になってきました。

     

    「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」(以下、検討会)の最終とりまとめで言及していますが、すでに海外ではHACCPを法規制の中に取り入れている国があります。また、食品流通のグローバル化、食品施設における外国人労働者の増加、訪日外国人観光客の増加、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催などの背景もあります。そうした状況に鑑みると、日本でも食品衛生法の中にHACCPの考え方を取り入れるのは自然な流れですし、そこに異論はありません。
    ただし、HACCPが義務化されるからといって、食品事業者にとっては「何か新しいことが求められる」ということではないと思います。日本の多くの食品現場では(たとえ中小・零細規模であっても)食品安全に影響を及ぼす要因、品質管理に影響を及ぼすファクターを分析し、対応してきたはずです。つまり、以前からハザードコントロールの考え方、HACCPの考え方は持っていたはずです。HACCPが義務化されるからといって、これまでの食品事業者の取り組みが否定されるものではありませんし、「まったく新しい仕組み」をゼロから組み立てる必要はないと思います。基本的には「これまで取り組んできた現場の活動を、HACCPという国際標準に照らして整理し直して、外部に説明できるように『見える化』する」という考え方でよいのではないでしょうか。最終とりまとめには「わが国の食品衛生管理の水準が国際的に見ても遜色のないものであることを、国内外に示していく必要性が高まっている」といった表現もありますが、これは「日本はHACCPの導入が遅れているから、日本の食品安全管理が諸外国に比べて劣っている」という意味 ではありません。

    ――その一方で「うちは製品を輸出していないし、オリンピック・パラリンピックが開催されても売上に影響はない。なぜHACCPに取り組む必要があるのか?」といった声を聞くこともあります。HACCP義務化は、すべての食品事業者にメリットをもたらすものでしょうか?

    私は、HACCPに取り組む意義を考える上で、「フードチェーン」という考え方を共有することが不可欠と考えています。消費者に安全な食品を提供するのは、1事業者の努力だけでは実現できません。例えば、食品工場がフードチェーンの前の段階(例えば原材料のサプライヤー)でどのような管理をしていたかがわからなければ、自分たちが出荷する最終製品の安全性に安心はできないはずです。しかし、サプライヤーに衛生管理や安全確保の取り組みを「見える化」してもらえば、その不安を取り除くことができます。要するに、HACCPとは、そうした「事業者の間をつなぐ、コミュニケーションの役目」を担っているのだと思います。
    そして、フードチェーン全体を通した「見える化」ができれば、どのように製造された商品であるかが明らかになるので、結果として消費者への「食の安心」の提供にもつながります。


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