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  • 小関茂樹先生

    小関成樹先生

    三栄源エフ・エフ・アイ株式会社に入社後、独立行政法人食品総合研究所(現・農研機構 食品研究部門)を経て、2013年より北海道大学大学院 農学研究院 准教授。内閣府食品安全委員会やJEMRA(FAO/WHO合同微生物学的リスク評価専門家会議)の専門委員なども務める。

  • 窪田邦宏先生

    窪田邦宏先生

    東京大学大学院 農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程 修了。独立行政法人国立環境研究所の後、国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部において研究員、主任研究官などを経て、現在は同部 第二室 室長。

  • 森哲也先生

    森哲也先生

    東京農業大学大学院 農学研究科 生物環境調節学専攻 博士課程 修了。現在は一般財団法人東京顕微鏡院 食と環境の科学センター 微生物検査部 技術専門 係長。

  • 米国に拠点を置くIAFP(International Association for Food Protection)は毎年夏にAnnual Meeting(年次会議)を開催しています。この会議は、食品安全分野の最新トレンドを知ることができるイベントとして世界中から注目を集めています。7月8~11日に米国ユタ州ソルトレイクシティで開催された2018年の年次会議では、67のシンポジウム、17の円卓会議、133の技術プレゼンテーション、600以上のポスター発表、180以上の展示が行われ、世界から約3,600名の専門家が一堂に集まる大盛況となりました。

    今回のコラムでは、長年にわたりIAFP年次会議に参加し続けている北海道大学の小関先生と国立医薬品食品衛生研究所の窪田邦宏先生、ポスター発表で参加した東京顕微鏡院の森哲也先生に、年次会議の様子や、最近の食品安全の潮流、さらには海外の学会に参加する意義などについて語っていただきました。また、現在、準備が進められているIAFP日本支部(Japan Affiliate)の構想についても伺いました。


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行政、研究者、産業界まで参加者の“すそ野”が広く、格好のネットワーキングの場

――IAFPおよびIAFP年次会議の特徴はどこにあると思われますか?

小関   年次会議に参加してまず驚くのは、口頭発表やポスター発表の演題の多さではないでしょうか。発表者や参加者は、行政から研究者、産業界まで幅広く、「学会としてのすそ野が広い」という印象を受けます。我々のような基礎研究に携わる者にとっては、「研究成果の実用化」に関する発表も数多く聞けるので、今後の研究を進める上でのヒントに富んでいます。
発表者や参加者が取り扱っているテーマも、基礎研究から応用研究まで様々です。例えば私の研究テーマの一つに「予測微生物学」があります。この分野は日本ではあまり研究者がいませんが、年次会議に参加すると、実に多くの専門家と意見交換ができます。
 
――森先生は今年初めて、ポスター発表として参加されました。

   昨年初めて年次会議に参加しましたが、ポスター発表のあまりの多さに驚きました。一方で大きな刺激も受けたので、「自分もポスターを出してみよう」と思いました。今回は、食品からのリステリアの検出法について比較した結果を発表しました。海外の方々は日本の状況に対する関心も高いようで、たくさんの質問を受けましたし、私もいろいろな話を聞くことができました。機会があれば来年以降もポスター発表を継続できれば、と考えています。
 
――小関先生の研究室からは学生も参加しています。

小関   IAFPでは学生が参加しやすいような予算を用意したり、学生だけが参加できる(先生が参加できない)セッションを設けるなど、「学会として学生を育てる」という意思を強く感じます。
ちなみに最近は、英語に自信がなくても物おじせずに飛びこんでいく学生が増えている印象があります。年次会議に参加する日本人が少ない理由の一つとして「語学力」が挙げられるかしれませんが、海外の研究者を見ていると、言葉がうまく伝わらなくても、何とか頑張って話をしようという雰囲気を感じます。
   
――IAFPの年次会議に実際に参加する意義はどこにあるとお考えでしょう?

小関   先ほど話したように、参加者のすそ野が広いので、日本では研究者が少ない話題でもいろいろな方と意見交換ができるという点で、とても魅力的な学会だと思います。私自身、日本では研究者が少ないテーマに携わることもあるのですが(かつては食品の殺菌技術に関する研究に取り組んだり、最近では予測微生物学を専門領域としています)、IAFP年次会議に参加すると、いろいろな方が興味を持ってくれます。専門家と意見交換できるのはもちろん、専門分野が違う方々との交流から思わぬヒントが得られることもあります。また、自分の専門ではない分野の発表やセッションを聞くだけでも、大きな刺激やヒントがもらえることもあります。ですから、学生をはじめ若手の研究者には、IAFPは積極的に参加する価値がある学会として勧めています。私が初めて年次会議に参加した時は日本人の姿は見かけませんでしたが、非常に大きな魅力を感じる学会だったので、翌年以降も欠かさず参加するようになりました。

窪田  “人と人の予期せぬつながり”ができるのは、実際に会議に参加する魅力の一つです。以前、IAFPでニュージーランドの鶏肉加工会社の方と知り合い、それをきっかけに食鳥処理場の現場を見せていただいたことがあります。実際に現場を訪問した時には「やはり現場のことは、現場を見なければわからない。知り会えてよかった」と思いました。そうした人と人のつながりは、研究者にとっては非常に貴重な財産だと思います。


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リステリア、A型肝炎ウイルス、低水分食品のサルモネラなど日本では注目されていない話題も

――2018年のIAFP年次会議で印象に残った話題はありますか?

窪田   ここ数年の傾向として、リステリア食中毒に関する発表が多い印象はあります。現地では発表者や参加者といろいろなディスカッションをしますが、その時に「リステリア食中毒は日本ではあまり報告されていない」という話をすると、「そんなはずはない」「(リステリアが)検出できていないだけではないか?」と言われることも多いです。
 また、私は食品安全行政に携わる立場なので、食中毒調査の発表は特に関心を持って聞いています。今年はハワイで発生したフィリピン産ホタテを原因食品とするA型肝炎ウイルスの食中毒調査に関して、かなり詳しい発表がありました。A型肝炎ウイルスは、海外では冷凍ベリーなどで食中毒の報告があるので、今後、国際的にも注視が必要な危害要因といえます。

   リステリアとA型肝炎ウイルスは、日本ではあまり話題になっていない危害要因ですが、IAFPでは口頭発表やポスター発表が非常にたくさん行われており、「日本と海外で関心が違うな」と感じました。また、低水分食品でのサルモネラに関する発表も多く、この点も日本との関心の違いを感じました。


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