• 3M™ ペトリフィルム™ 乳酸菌数測定用プレート(LABプレート)

    3M™ ペトリフィルム™ 乳酸菌数測定用プレート(LABプレート)


  • 食品の品質に悪影響を及ぼす乳酸菌もある

    乳酸菌は我々の食文化にとって身近な微生物として知られている。例えば、乳酸菌を意図的に添加することで、チーズやヨーグルトなど様々な種類の発酵食品が作られるなど、食品業界にとって“役に立つ”機能を有している。その一方で、乳酸菌が意図せずに食品に混入した場合、パッケージの膨張や、異味・異臭(エタノール臭)の発生、酸敗(酸っぱくなる)や緑変、粘着化(ネトや糸引きの発生)などを引き起こす可能性もある(図1、写真1参照)。 もし、食品に乳酸菌が意図せず混入し、増殖してしまった場合、消費者クレームの原因になり、お詫び広告やリコールが必要になることもある。そうした状況に陥らないよう、食品企業においては衛生管理や品質管理を徹底し、乳酸菌による品質劣化の予防に努めている。 現在、厚生労働省はHACCPの制度化の準備を進めている。HACCPで取り扱う“ハザード”とは「人体に健康危害をもたらす可能性がある要因」であるため、品質面での問題を引き起こす微生物(腐敗や変敗を引き起こす微生物など)は、原則的にはHACCPプランでは取り扱わない。しかしながら、先ほど述べたような乳酸菌による品質問題(包装の膨張、緑変、ネト、異味・異臭など)は、消費者の視覚や嗅覚に与えるインパクトがきわめて大きい。しかも乳酸菌は環境中に広く存在する細菌なので、(食品工場内では)原材料や加工環境など様々な経路から食品を汚染する可能性がある。品質管理の観点から見て、乳酸菌の制御と検査が食品企業にとって極めて重大な管理項目の一つであることは間違いない。

食品の品質に悪影響を及ぼす乳酸菌

  • 日本における乳酸菌の規格基準と試験方法の現状

    日本では乳酸菌に関する規格基準として、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)において「発酵乳」と「乳酸菌飲料」の2分類について規格基準が定められている。そして、その試験法についてはBCP加プレートカウント寒天培地を用いた培養法が公定法として定められている(表1参照)。
    しかしながら、この2分類以外の食品については、乳酸菌に関する規格基準が設けられていない。つまり、先ほど述べたような、一般的な食品で「食品の品質に悪影響を及ぼす乳酸菌」に関する規格基準は存在せず、公的な試験法も存在しないのが現状である(表1参照)。
    そうした背景から、日本では一般的な食品を取り扱う食品企業においても、乳酸菌の試験ではBCP加プレートカウント寒天培地を用いている場合が多い。

    表1 日本における乳酸菌の規格基準と試験方法の現状

    表1 日本における乳酸菌の規格基準と試験方法の現状

  • 従来法(BCP加プレートカウント寒天培地)が抱える課題

    そもそもBCP加プレートカウント寒天培地を用いた試験法は、あくまでも発酵乳や乳酸菌飲料のように「乳酸菌のみが存在する食品」(乳酸菌以外の細菌が存在しない食品)を想定して定められた試験法である。「乳酸菌と乳酸菌以外の細菌が混在する食品」を想定した試験法ではないため、乳酸菌の選択性は低い(表2参照)。つまり、「様々な夾雑菌が存在する食品から、乳酸菌のみを選択して生育させる」という目的には適していない試験法である。
    実際、BCP加プレートカウント寒天培地で一般食品(「発酵乳」「乳酸菌飲料」以外の食品)の試験を行うと、写真2のように夾雑菌も生育してしまい、乳酸菌の正確な測定には適していないことがわかる。

    表2 3M™ ペトリフィルム™ 乳酸菌数測定用プレート(LABプレート)およびBCP加プレートカウント寒天培地における非乳酸菌の排他性について

    表2 3M™ ペトリフィルム™ 乳酸菌数測定用プレート(LABプレート)およびBCP加プレートカウント寒天培地における非乳酸菌の排他性について

    写真2 ヨーグルトを検体として、BCP加プレートカウント寒天培地で培養したものと、一般的な食品(乳酸菌と乳酸菌以外の細菌が混在する食品)を培養したけっかもの

    写真2 左はヨーグルトを検体として、BCP加プレートカウント寒天培地で培養した結果。乳酸菌以外の細菌が存在しない食品であれば、判別しやすいコロニーが観察される。 右は一般的な食品(乳酸菌と乳酸菌以外の細菌が混在する食品)を培養した結果。夾雑菌が多く存在する食品の場合、BCP加プレートカウント寒天培地では乳酸菌の選択的な培養が困難であることがわかる。


  • 国際的な乳酸菌の試験法(MRS寒天培地)を改良した「3M™ ペトリフィルム™ 乳酸菌数測定用プレート(LABプレート)」

    ISO 15214:1998などの国際的な方法では、変敗の原因となりうる幅広い種類の乳酸菌については、MRS寒天培地を用いて30℃で72時間、嫌気培養を行う試験法が採用されている。

    当社が開発した「3M™ ペトリフィルム™ 乳酸菌数測定用プレート(LABプレート)」は、このMRS寒天培地を改良したもので、28~37℃で48±3時間の培養を行うことで、ISOの方法と同等に乳酸菌を選択的に検出することができる(3M™ ペトリフィルム™ 乳酸菌数測定用プレート(LABプレート)とMRS寒天培地の相関性については図2参照)。

    MRS寒天培地との相互関係

    図2 3M™ ペトリフィルム™ 乳酸菌数測定用プレート(LABプレート)とMRS寒天培地の相関分析結果

  • 本培地の主な特長として、以下の点が挙げられる。
    ● 乳酸菌の選択性が高い(夾雑菌の生育を抑制しつつ、様々な種類の乳酸菌が確実に生育する)
    (本培地の選択性については表3参照)。
    ● 乳酸菌は赤色のコロニーとして観察されるためカウントが容易であり、さらに気泡の有無を観察することで成育した乳酸菌が「ホモ型」か「ヘテロ型」かを確認可能である(写真3参照)。
    ● 培養時間は、MRS寒天培地が72時間であるのに対して、約1日短縮できる。
    ● 嫌気ジャーを使用しなくてもプレート内部で嫌気状態を作ることができる。

    もちろん、従来の「3M™ ペトリフィルム™ 培地」シリーズ同様、操作手順は「試料を滴下し、インキュベーターで培養するだけ」。培地調製などの手間は不要で、業務の効率化、検査担当者の作業負担の軽減や検査手技の平準化など、様々な効果が期待される。また、薄いフィルム状の培地なので、培養時には少ないスペースで多数の検体が保管できる。
    なお、3M™ ペトリフィルム™ 乳酸菌数測定用プレート(LABプレート)はAOAC PTM、AFNORの認証を取得済みである

  • ※補足:微生物の簡便・迅速な試験法の妥当性確認の仕組み

    微生物の簡便・迅速な試験法に関しては、米国ではAOACインターナショナル、欧州ではオランダのMicroVal、フランスのAFNOR、ノルウェーのNordVal が、第三者機関としてISO法を参照法とした妥当性確認を行っている。これらの機関により妥当性確認が行われた試験法は、国際的に信頼できる試験法として広く活用される。
    AOACによる妥当性確認は、OMA(Official Methods of Analysis、公定分析法)とPTM(Performance Tested Methods、性能検証済み試験法)の2種類がある。OMAは8~12機関以上で妥当性確認を行う(試験室間協同試験)のに対し、PTMは1機関のみで妥当性確認を行う。近年は分析技術が急速に変化していることなどを背景に、短期間での認証取得が可能なPTMの妥当性確認を採用する場合が多い。なお、MicroVal, AFNOR, NordVal認証は試験室間協同試験を実施している。

    包含性試験に用いた乳酸菌株(n=69)

    排他性試験に供試した非乳酸菌株(n=43)

    表3 3M™ ペトリフィルム™ 培地 乳酸菌数測定用プレートの選択性について


  • ホモ型乳酸菌

    ホモ型乳酸菌

  • ヘテロ型乳酸菌

    ヘテロ型乳酸菌

  • 写真3 気泡を伴わないコロニーはホモ型乳酸菌、気泡を伴うコロニーはヘテロ型乳酸菌。
    ホモ型は乳酸のみを生成する乳酸菌で、異味・異臭、酸敗の原因になる(Enterococcus属など)。ヘテロ型は乳酸だけでなく、乳酸以外の物質(アルコール、酢酸、炭酸ガスなど)を生成する乳酸菌で、粘質化(糸引き)などを引き起こす粘性物質(デキストラン)を産生するものがある(Leuconostoc属など)。

  • 参考文献
    ・厚生労働省, 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和二十六年厚生省令第五十二号)
    <http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=326M50000100052&openerCode=1>

    ・厚生労働省, 食品、添加物等の規格基準 食品別の規格基準について(昭和34年厚生省告示第370号)
    <http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/jigyousya/shokuhin_kikaku/index.html>

    ・ISO 15214:1998 Microbiological of food and animal feeding stuffs – Horizontal method for the enumation of mesophilic lactic acid bacteria — Colony-count technique at 30 degrees C

    ・乾式フィルム状培地を用いた好気培養による食品変敗乳酸菌の検出法の検討

    ・3Mペトリフィルム培地乳酸菌数測定用プレートの包含性と排他性について

    コラム一覧

Follow Us
地域を変更する
日本 - 日本語