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  • ――日本と海外で、リステリア管理の考え方に違いはあるのでしょうか?
    木村先生 特にアメリカとEUでは、未殺菌の乳製品、水産加工品などRTE食品(ready-to-eat food、そのまま喫食する食品)のリステリア管理の意識が非常に高いと感じています。日本でリステリアの規格基準が設けられているのは生ハムとナチュラルチーズだけですが、欧米ではRTE食品に対してリステリアの規格が設けられています。例えば、米国では検体25gで不検出を義務付けていますし、EUでも菌数の基準が設けられています。
    ここで誤解してほしくないことは、日本では生ハムとナチュラルチーズで規格基準が設けられていますが、リスクがあるのは、この2種類だけではありません。食品工場では、リステリアはバイオフィルムを形成して、常在している場合があり、工場内の製造環境から二次汚染するケースがあるということです。そのため、食肉加工品、水産加工品、野菜や果実をはじめ、さまざまな製品(特にRTE食品)でリステリア汚染が起こる可能性はあります。 「日本ではリステリアは起きていない」「リスクがあるのは生ハムとナチュラルチーズだけ」という間違った認識があり、日本ではリステリア検査はほとんど行われていないのが、現状です。一方、海外では検査を行った上でこの製品にはリステリアが存在しないことを確認しています。この状況を鑑みると「日本ではリステリア検査は実施する必要はない」という考え方は通用しない時代になっていくと思います。

    ――日本でもRTE食品を中心に、リステリア検査の必要性が高まるのは間違いないということですね。イオン様のリステリア検査の体制について教えてください。
    小松先生 輸入ナチュラルチーズについては、受け入れ時にMDS法でリステリアとサルモネラを検査しています。MDS法で陰性と判定されたもののみが各店舗へ出荷されます。鮮度が味に大きな影響を及ぼすソフトチーズでは、2日という短時間で病原菌検査の結果判定ができるMDS法は、非常に有効であると考えています。
    当社は2016年に、米国の農場でリステリアが混入した可能性があったため、その農場の野菜を使用していた製品を自主回収したことがあります。その時、類似商品のリステリア検査を強化しましたが、検出はされませんでした。そのため現在は、製造から期限が長いチーズをメインに検査を実施しています。加熱用のシュレッドチーズについても、データ蓄積という意味合いで検査を実施しています。 今後、リステリアの管理や検査の重要度は増すと推測されますが、日本ではリステリア食中毒に関する情報はなかなか入手できないので、自主検査によって検査データを蓄積することに加えて、海外情報(特に類似商品での食中毒関連の情報など)にも注視する必要があると考えています。

    ※MDS法=DNA等温増幅(LAMP法)と生物発光検出を組み合わせた3M社独自の簡便・迅速な病原菌自動検出システム(Molecular Detection System)

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  • 小松部長

    小松部長

  • 木村教授

    木村教授

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  • ●世界で頻発する二次汚染によるサルモネラ食中毒、水産物、低水分活性食品などでもリスクを考慮すべき

    木村先生 世界の食中毒の発生状況を見ると、食中毒の原因菌は圧倒的にサルモネラが多いです。例えば米国では、最も多い原因物質はノロウイルスですが、入院患者の数で見ればサルモネラがノロウイルスを上回ります。
    サルモネラは乾燥した(水分活性が低い)環境でも長期間にわたり生き残ることができます。そのため、サルモネラが工場環境に常在して、それが二次汚染を起こす可能性があります。ピーナッツバターなどの水分活性が低い食品であっても、RTE食品ではサルモネラ汚染を考慮しなければなりません。

    ――鶏卵や食肉、ピーナッツバターのほかにも、認識しておくべき原因食品はありますか?
    木村先生 最近は、キュウリやトマト、サラダなど、野菜によるサルモネラ食中毒が増えています。この原因としては、農場段階での汚染が考えられますし、工場環境からの二次汚染も考えられます。
    また、海外では水産魚介類でもサルモネラ検査を実施しています。EUでは東南アジア(タイ、ベトナムなど)から輸入するウニや甲殻類について、サルモネラの規制値を設定しています。日本でも、海外から水産物を輸入する場合は、養殖場におけるサルモネラ汚染を考慮する必要があると思います。 日本では1999年にイカ乾燥菓子によるサルモネラ食中毒が起きています。水産物、低水分活性食品でもサルモネラに対する認識は必要です。

    ――イオン様のサルモネラ検査の体制について教えてください。
    小松先生 大きな転機となったのは、いま木村先生が言及された1999年のイカ乾燥菓子によるサルモネラ食中毒です。これは山梨県を除く46都道府県で発生した、患者数1,634人という広域・大規模な食中毒事例です。当社では、この事例をきっかけに、食肉や食用卵を原材料とする食品以外についてもサルモネラの自主基準を設定し、検査を実施することにしました(包装後に加熱殺菌する製品は除く)。検査によって、原材料由来のサルモネラ汚染の状況はもちろん、二次汚染が起きていないことも確認しています。サルモネラは少量の菌数でも発症する可能性があるので、原材料の汚染だけでなく、二次汚染を予防する管理体制も重要であると認識しています。
    なお、店舗での調理については、(サルモネラやリステリアのリスクがある場合は)中心温度で75℃1分以上の加熱を基本とした製造仕様を設定しています。

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