【座談会】IAFP 2019年年次会議:参加報告

幅広い参加者がもたらす情報の豊富さと誰でも意見交換できる環境が魅力のIAFP
日本でもIAFP 日本支部始動で、ネットワーキングの場を     2019.10.29

  • 小関成樹 先生

    北海道大学大学院
    小関 成樹 先生

    三栄源エフ・エフ・アイ株式会社に入社後、独立行政法人食品総合研究所(現・農研機構 食品研究部門)を経て、2013年より北海道大学大学院 農学研究院 准教授。内閣府食品安全委員会やJEMRA(FAO/WHO合同微生物学的リスク評価専門家会議)の専門委員なども務める。

  • 森哲也 先生

    一般財団法人東京顕微鏡院
    森 哲也 先生

    東京農業大学大学院 農学研究科 生物環境調節学専攻 博士課程 修了。現在は一般財団法人東京顕微鏡院 食と環境の科学センター 微生物検査部 技術専門 係長。

  • 小山健斗 先生

    北海道大学大学院
    小山 健斗 先生

    北海道大学大学院農学研究院 専攻 博士課程 修了。現在は北海道大学大学院農学研究院 助教で予測微生物学がご専門。

毎年夏にIAFP(International Association for Food Protection)はAnnual Meeting(年次会議)を開催しています。食品安全分野における世界最大の会議であり、行政、研究者、産業界まで参加者の“すそ野”が広く、格好のネットワーキングの場となっています。参加者は最新トレンドを知るだけではなく、様々な人と意見交換ができるイベントとして世界中から注目を集めています。2019年は7月21~24日に米国ケンタッキー州ルイビルで開催され、72のシンポジウム、22のRoundtable、137の技術プレゼンテーション、750以上のポスター発表、170以上の展示が行われました。参加者は世界各国から3,800名も集まりました。
今回は学会が開催されたケンタッキー州ルイビルに赴き、会場で直接お話しをお伺いました。IAFP日本支部会長でもいらっしゃる北海道大学の小関先生、IAFPに3年連続参加されている東京顕微鏡院の森先生、昨年Student Travel Scholarshipを受賞された北海道大学の小山先生のお三方に、年次会議での話題、IAFPの良さ、設立されたIAFP日本支部の活動方針などをお話し頂きました。

  • 会場入口

    会場入口

  • プレゼンテーション会場

    プレゼンテーション会場

―今回のIAFP2019も例年と同様に多岐にわたる話題がありましたが、中でもどの話題に関心を持たれましたか。

小山先生
学会の楽しみ方の1つとして、豊富な情報のポスター(IAFP2019では750以上のポスター展示)を見ることで海外のトレンドがわかります。
IAFPではきゅうりのサルモネラなどの微生物汚染について、レモンやクランベリー果汁等による殺菌の研究もありました。日本より天然物を好む傾向が強いのは海外ならではの研究かと思います。他には、統計への関心が高いことですね。学術研究でも言われているのですが、統計学的な有意差と生物学的な有意差は違うということを理解した上で統計学的なアピールポイントを作るのが、重要だと思います。

森先生
日本ではHACCP制度化仕組み作りの段階ですが、IAFPではHACCPを入れた後の仕組みをどう動かしていくかという観点での話題が多かったです。今後の日本において、従業員教育など参考になることが多いと思います。想定外のことが起きた時にいかに考えさせ、行動に結びつけるか、そういった観点でDoing Watching VRの活用という面白い話題提供もありました。

小関先生
日本ではあまり話題になっていませんが、ゼロトレランスやリスクの話題もIAFPでは多くみられました。日本では化学物質で検討されていますが、微生物においては全くない考え方なのでこれからです。日本は規格基準に準ずる考え方が強く、それをクリアしていれば良いという傾向ですが、不確実性や変動性を考慮し、食品の安全を確保するためには、必要な考え方です。

 

―なるほど、日本と海外の認識の違いがわかる内容ですね。他にも日本と海外の違いを感じる話題などあれば教えてください。

小関先生
意識の違いは、日本は経験に基づき国際的には数値に基づくという点で異なります。日本では、受け継がれてきた経験や日本特有の良心の呵責により保たれている部分がありますが、国際的には通用しません。海外では客観的な根拠を重要視する傾向が強く、数値での理解をしなければならない点は決定的に違います。

森先生
Food Safety Culture(Food Safety Cultureとは、共通の価値観、信念、規範により、組織全体の食品安全に対する考え方や行動に影響を与えるというもの)の話題もありましたが、この考え方はアメリカの文化的背景があり、浸透していると思います。日本は経験依存が強いのに対して、アメリカは色んな国の人がいるという前提の違いがあるので、Food Safety Cultureのような継続的に実施し定着させるような考え方がうまれました。今後、外国人労働者の増加に伴い、日本でもFood Safety Cultureの考え方は不可欠になるのではないでしょうか。

 

―IAFP に入会して実感するメリットはありますか。

小山先生
IAFPへ入会すると、過去の年次会議の情報が閲覧可能になるほか、IAFPから毎月豊富なレポートも送られてきますので、常に海外の食品安全に関する最新情報を入手することができます。また、IAFPでは若手研究者の育成にも力を入れています。その一環として、学生が入会した場合は、所定の申請手続きなどは必要ですが、IAFPからの費用援助などの仕組みもあります。私も去年この仕組みを利用して費用援助を受けました。海外の学会は費用がハードルになりやすいですが、IAFPにはこのような仕組みもあり、参加しやすくなっています。

 

―IAFP 日本支部の活動方針について、教えて下さい。

小関先生
海外の学会情報を知ることは、日本の学会にも良い影響を与えると考えています。
IAFPでは、Round Table形式での聴講者参加型のディスカッションもあり、誰でも気軽に意見交換できます。また、大御所であってもフランクに話しやすい環境でもあります。こんなこと聞いてもいいのかなという躊躇はいりません。そもそも学会は関心が高い人たちが集まって議論するものですので、議論が促進できるような場を提供できればと思っています。

 

IAFP日本支部に関心を持って頂くためのイベントとして、食品微生物学会にご支援いただき、食品微生物学会前日の11月27日にシンポジウム開催を予定しております。
今回はIAFPのFellowであるRutgers大学のDonald W.Schaffner教授にリスク評価についてのお話しをお伺いできます。逐次通訳をご用意していますので、日本語でご理解頂けます。日本で言葉の壁を越えた海外の話題を得られる良い機会ですので、是非ご参加下さい。 

 

 

シンポジウムの詳細はこちら

  • IAFP日本支部メンバー

    IAFP日本支部メンバー


Follow Us
地域を変更する
日本 - 日本語