イオンにおける品質管理体制
~食品流通のグローバル化に対応した簡便・迅速な微生物検査~
     2020.3.17

  • イオン株式会社 品質管理部 小松幸代氏

    イオン株式会社  品質管理部 部長(当時)
    小松 幸代 氏

    (※2020年3月より 株式会社生活品質科学研究所 代表取締役社長専任)

    2017年にイオングループの品質管理や検査などの機能を担う株式会社生活品質科学研究所(以下、RIQL)の代表取締役社長に就任、2018年より2020年2月までイオン株式会社 品質管理部長も兼任。現在に至る。


  • スリーエム ジャパンは東京都内でセミナー「広域的な食中毒事案対策から考える『病原菌検査の重要性』」を開催しました。今回のコラムでは、イオン株式会社 品質管理部の小松幸代部長(当時)による講演内容をご紹介します。小松部長の講演では、イオン株式会社様における品質管理体制、3M™病原菌自動検出システムを活用した微生物検査についてお話し頂きました。

お客さま第一の商品づくりに基づいた品質管理の取り組み

 トップバリュは5つのこだわりを掲げ、お客さま第一の商品づくりを心掛けております。①お客さまの声を商品に生かします、②安全と環境に配慮した安心な商品をおとどけします、③必要な情報をわかりやすく表示します、④お買い得価格で提供します、⑤お客さまの満足をお約束します。
この考えに基づき、プライベートブランド商品の企画・設計から製造・販売に至るまで品質管理に取り組んでいます。

①企画~設計

当社では、お客さまからの提案や要望などに基づいて、商品の企画・設計を行っています。商品の企画段階では「商品に想定されるリスクをあらかじめ回避する」という観点が重要です。「使用不可の原材料を使用していないか?」「使用している添加物は妥当であるか?」「容器や包装の設計はきちんとしているか?」「原材料の変更時に変更先のメーカーが確認できるか?」など、多面的に確認や分析を行います。

②工場評価

当社の場合、製造委託先の工場がGFSI承認規格(FSSC 22000、SQFなど)を取得していない場合は、RIQLスタッフがFSMS(食品安全マネジメントシステム)に基づく二者監査を行っています。
 また、製造委託先の労働環境の確保(労働者の安全や人権への配慮など)、環境配慮などについてCoC(取引行動規範)で規定しています。各工場と契約を交わした上で、二者監査や外部機関による監査を行います。ちなみに、CoCは13項目(法と規則、児童労働、強制労働、労働時間、賃金および福利厚生、虐待およびハラスメント、差別、結社の自由、団体交渉の権利、安全衛生、環境、商取引、誠実性および透明性、エンゲージメント)で構成されています。

③試作・評価、仕様書の確定

試作品については、消費者モニターに商品名がわからない状態で試食していただきます。7割以上が「おいしい」と判定し、価格を含め競合商品を上回る購入意向を示すことが、商品化の必須要件の一つです。

④製造・検査、販売管理

工場の初回製造時には、開発担当者が立ち会い、現場で商品仕様との突き合わせを行います(例えば原材料の確認、製造工程の確認、表示の確認、ロット検品の実施など)。2回目以降は、原材料や製造工程などについて定期・不定期で継続的に確認します。確認の際は、3現主義(現場・現物・現実)を徹底しています。問題点の確認や、解決策の策定はもちろん、製造委託先とのコミュニケーションの充実も重要なポイントであると感じています。

⑤情報収集・改善、企画

イオングループでは、お客さま対応のスピードと質の向上を図るために、「お客さまの声収集システム『VOICE』」を運営しています。ウェブや電話、ご来店などで寄せていただいたお客様の声を、現状の改善や、新商品の開発などに活かしています。また、2010年からは会員制サイト「イオン食の安全・安心の広場」を運用しています。


迅速・簡便・高信頼の微生物検査を実現

イオングループの品質管理や検査などの機能を担うRIQLでは、リステリアとサルモネラの検査において、3M™病原菌自動検出システムを用いた方法(以下MDS法)」を採用しています。(関連記事はこちら:株式会社生活品質科学研究所における 「3M™病原菌自動検出システム」の効果的な活用事例) この検査法を採用した背景には、大きく「迅速性」「信頼性」「簡便性」という3つの要素がありました。
迅速性については、公定法(培養法)の場合は判定結果が得られるまでに数日を要しますが、MDS法では2日で判定できます(図1~2参照)。そのため、「出荷判定までの時間の短縮(出荷判定までの留め置き経費の削減)」「より長い賞味期限の確保(新鮮な食品の提供)」などの効果が期待されます。当社の場合、例えば輸入チーズの出荷判定などで大きな効果を上げています。輸入チーズの賞味期限は約30日です。公定法で出荷判定を行う場合、空輸してから検査結果がわかるまでに、すでに10日ほど経過しています。一方、MDS法であれば、翌日には結果が判明するので、お客さまにより早く、新鮮なチーズを提供できます。
簡便性については、誰でもすぐに検査ができるので、事故発生など緊急対応が求められる場合や、多検体を同時処理したい場合(検査員が足りない場合)でも、柔軟に対応できます。また、検査の手技に関する教育の時間も、大幅に短縮できます。
信頼性については、MDS法は第三者認証A.O.A.C.(OMA)認証を取得しており、国際的に広く認められている試験法との比較による検証が複数の機関で実施されていることが確認されている試験法で、国際的に高い信頼を得ています。なお、RIQLでは、生菌数、大腸菌(TEMPO法)、黄色ブドウ球菌(TEMPO法)、リステリア(MDS法)の検査についてはISO 17025の認定を受けています。

  • 図1 サルモネラ検査の流れ

    図1 サルモネラ検査の流れ

  • 図2 リステリア検査の流れ

    図2 リステリア検査の流れ

最後に

我々は工場を持っておらず、イオンのプライベートブランド「トップバリュ」はすべて製造を委託しています。しかし、安全性や品質に問題があった時は、そのすべての責任は我々イオンが負います。トップバリュの品質方針は「誠実」「革新」「情熱」です。今後も、品質管理や安全性確保には、我々の「誠実さ」「情熱」をもって、妥協なく取り組んでいきます。

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