中期経営計画に会社全体で業務改善に取り組むという内容が盛り込まれている。
品質管理部門では、検査の効率化により改善を図ることにした。
同社の業績はここ数年右肩上がりで伸びており、今後も販売品目と製造量の増加が見込まれた。それに伴い検査量も増加するため、効率化は必須だった。
品質管理部門の人員確保は難しい。会社としては、生産力強化が喫緊の課題であるため、人的リソースは生産部門に優先的に配置されるためだ。また、非正規雇用の求人募集をかけても、なかなか人が集まらないこともあり、今のリソースで今後想定される業務に対応する必要があった。
限られたリソースでの業務改善には検査方法を根本から見直すべきと考え、検査全体の見直しをあらゆる角度から行うことにした。
部門長のA氏は、新たな検査手法として3M™ ペトリフィルム™ 培地を検討することにした。同製品は過去にも検討したが、コストや公定法検査の慣習など複合的な問題があり導入を見送った経緯がある。現状の課題を踏まえ、改めてスリーエム ジャパンの営業担当者に相談することにした。
その結果、ペトリフィルム™ 培地は寒天培地による検査法と比較して、培地の準備や片付けの低減などにより最大70%の生産効率の改善を見込めることがわかった。また、第三者認証機関により「妥当性確認」された製品として認められていることと、国内においても「食品衛生検査指針 微生物編 2015」に収載されていることから信頼性も十分と判断した。
新たな検査手法の採用は、当初現場から難色を示す意見も上がっていた。しかし、品質管理部門が全社の中で担う役割を果たすためには、先手をとった攻めの改善が必要だ。売上成長を加速させるために必要不可欠な品質管理体制の実現こそ、勝ち続けるために必要だとA氏は考える。だからこそ、現場も納得する方法で解決策を見いだせたことは同社にとって価値のある選択だったといえる。
〔解決のポイント〕