従来の寒天培地を用いた検査法は手順が煩雑。長年検査を担当していたベテラン検査員も実は自分たちの技量に不安を感じていた。
さらに、検査員が1名退職し、安定した検査体制の確保に迫られていた。
豆腐、こんにゃくなどの惣菜を扱う同社では、中食市場の拡大に伴い、業績は順調に推移していた。数年前に新工場も竣工し、さらなる成長を図っている。そのような中、品質管理部門では一抹の不安を抱えていた。
検査員はベテランであるものの、元々検査の専門的な教育を受けたわけではなく、自分たちの技量に自信を持てずにいた。寒天培地での検査は手技を覚えるのに時間がかかり、手順も煩雑だ。過去に外部精度管理試験を受けて不合格だったこともあった。
さらに、全部で3名いた検査員のうち、1名が退職することになった。新たな人員確保も難しく、検査体制により一層の不安が募る。同社では、品質管理における検査手法の見直しに迫られていた。
品質管理部課長のB氏は、日ごろ付き合いのある外部検査会社に相談したところ、寒天培地の代替として3M™ ペトリフィルム™ 培地の存在を知った。検査方法の見直しに使えるかもしれない、と調査を進めると、培地調製が不要、コロニーが染色されるため判定しやすいなど寒天培地で気をつけなければならない多くのことが不要なため、検査のバラつきを抑えることができるとわかった。また、外部精度管理試験の結果を通じて、他社がペトリフィルム™ 培地を使い、高い精度の試験結果を得ていることも知った。
早速サンプル評価に移り、2週間のトライアルを行ったところ、培地の準備や片付けの時間が大幅に削減され、結果の安定性に加え高い効率性を実感した。1日60検体、365日検査を続ける同社では、手法改善の影響は大きい。B氏はペトリフィルム™ 培地の導入を決めた。
切替え後は、技量に自信がなかった検査員の不安も解消され、精神的、身体的な負担も軽減された。そして、外部精度管理試験を受けたところ、無事合格することができた。
ペトリフィルム™ 培地導入により、従来の寒天培地に比べランニングコストは増加している。しかし、人員確保が難しいと言われる品質管理部門で、人員を1名増やすことや、将来に渡って安定した技量を継承することを天秤にかけると、ペトリフィルム™ 培地導入のメリットは大きい。安定した検査に加えて、急な検査にも対応できるようになり、品質管理部門全体に余裕も生まれた。今では、信頼性が確保された検査体制が、同社の業績拡大をしっかりと支えている。
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