創業100年以上の歴史を誇る株式会社マルハと株式会社ニチロの経営統合により、2007年に誕生した株式会社マルハニチロホールディングス様。
水産事業、食品事業、畜産事業をビジネスの中核に据え、世界中に196ものグループ会社を有するマルハニチロホールディングス様は、全事業分野共通の重点課題として品質管理体制の強化を推進。品質保証力の向上を目指して、2010 年より、「3M™ ペトリフィルム™ 培地 生菌数測定用ACプレート」と「3M™ ペトリフィルム™ 培地 大腸菌群数測定用CCプレート」「3M™ ペトリフィルム™ プレートリーダー」を導入しています。
株式会社マルハニチロホールディングス
中央研究所分析検査室 主任
株式会社マルハニチロ食品
生産管理部生産管理課
課長役
株式会社マルハニチロ食品
広島工場品質管理課 課長
株式会社マルハニチロ食品
広島工場品質管理課 係長
本社所在地 | 〒135-8603 東京都江東区豊洲三丁目2 番20 号豊洲フロント |
設立 | 1880 年にマルハ株式会社創業、1907 年に株式会社ニチロ創業 (2007 年に経営統合・株式会社マルハグループ本社から株式会社マルハニチロホールディングスに社名変更) |
資本金 | 310 億円 |
売上高 | 8,234 億円(2011 年3 月期) |
従業員数 | 13,216 名(マルハニチログループ全体/ 2011 年3 月期) |
グループの主な事業内容 | 水産事業、食品事業、保管・物流事業 |
「世界においしいしあわせを」をコーポレートブランドに掲げるマルハニチロホールディングス様は、「本物・安心・健康な食」の提供を通じて豊かな生活文化の創造を目指す価値創造型企業。水産、食品、畜産事業など、多角的なビジネスを展開する食のプロフェッショナルとして、新たな食の世界を提案するリーディングカンパニーです。
「食の安全・安心」を実現するための指針として「品質保証方針」を策定。その一環として、1 9 9 8 年に石巻工場がISO9001を取得したのを皮切りに、本社、工場など各事業所がISO9001やISO22000などの認証を取得。その後も、全事業分野共通の重点課題として品質管理体制の強化に取り組み続けています。
シャーレと寒天の培地を用いる従来の手法は、現場で長年、実施されてきている歴史ある検査法。しかし、この方法には個人によるばらつきが出やすいなどの課題がありました。
「寒天培地による検査では、寒天が冷めて固まる前に検体に加えて混ぜる『混釈』を行います。その際、培地の温度が高すぎると菌が死んでしまい、正確な数値が得られない場合があります。また、培地の混ぜ方にもコツがあり、均一に混ざらないと、菌数を正確に計ることができなくなります。寒天培地による微生物検査は個人によるばらつきが出やすく、この問題を解決する必要がありました。」 (中央研究所 分析検査室 主任 田島洋介氏談)
寒天培地による検査の場合は、スキルを身につけてコロニーを正確に見分けることができるようになるまでに、ある程度の教育・研修期間が必要となります。そのため、人材教育や技術の継承の面でも課題が存在していました。
「ものづくりの現場では、『技術の継承』の問題がよく話題になりますが、食品の品質管理の分野でも、まさにそういう事態が起きています。品質管理のベテランが退職することになると業務内容自体は引き継がれるのですが、その方が培ってきたノウハウや知識までは継承されずに時間とともに薄れていってしまうのです。『人』と『継承』の問題は、品質管理の現場でも大きな課題の一つです。寒天培地による検査には一定の技術が必要ですから、慣れていない人が習熟したベテランと同じような水準で検査することはできません。」 (生産管理部 生産管理課 課長役 渡辺裕史氏談)
従来の検査法の問題点を解決し、精度と作業効率を向上するには検査方法や器具の統一が必要だと考えた分析検査室では、培地の細菌数を自動的に計測できるコロニーカウンターに着目。機能の検証を開始しました。 寒天培地を測定するコロニーカウンターは、プラスチックシャーレや寒天の反射によって計測結果がブレる、白い食品残渣をコロニーと誤認するなどの問題が発生。こうした問題を解決する方法を模索していた時に出会ったのが、「3M™ ペトリフィルム™ 培地」と「3M™ ペトリフィルム™ プレートリーダー」でした。
分析検査室では、ペトリフィルム™ 培地とプレートリーダーの検証作業を繰り返し実施。その結果、個人によるばらつきをなくし、作業効率を高めるために有効な検査方法であるという検証結果が得られました。
ペトリフィルム™ 培地とプレートリーダーを選定する決め手になったのは機能、使い勝手のよさ、そして、信頼性の高さ。アメリカのAOAC、フランスのAFNORなど、世界で200以上の認証推薦を受け、米国農務省(USDA)や食品医薬品局(FDA)などからもオフィシャル法として認められている点が高く評価されました。
「AOAC OMAなど、世界的に認められたさまざまな検証方法によって妥当性が確認されているペトリフィルム™ 培地は、微生物検査の中で最も信頼性の高い製品のうちの一つだと考えています。『簡易法』という言葉のイメージから、『公的な方法に準じていないのではないか』というイメージもありますが、検証を重ねた結果、今までの方法に比べて使い方が簡単であるだけで、検査結果が簡易なわけではないことが、データからも実感としてもよくわかりました」(田島氏)
加えて、リスクマネジメントの観点からも、ペトリフィルム™ 培地にはメリットがあると判断されました。
「当社グループでは東日本大震災後、一時期、寒天培地が入手しづらい状況になりました。このように培地が手に入らない、あるいは培地を作る人材を確保できないといった状況に備えてリスクを分散しておくことは非常に重要です。安全・安心を最優先したものづくりを行うためには、伝統を尊重しつつも新しい技術も積極的に導入し、ダブルラインで検査できる体制を整えておくことが不可欠であると考えています」(渡辺氏)
新たな検査法として、ペトリフィルム™ 培地とプレートリーダーを導入するにあたり、マルハニチロホールディングス様では、各工場で従来の検査法との比較・検証作業を実施。自社の製造環境や製品特性に適した検査方法かどうかを確認・検証しました。
「すでに世界的な信頼を得ている製品ですから、妥当性の検証というよりも導入前の確認ということで、弊社の食品をきちんと検査できるかどうかを評価させていただきました。具体的には、工場でこれまで実施してきた寒天培地による検査とペト
リフィルム™ 培地による検査をダブルで実施し、その結果を比較検証しました。」 (田島氏)
工場での検証作業は約1ヶ月間。ペトリフィルム™ 培地とプレートリーダーを初めて使用した現場の方達の間に、混乱やとまどいはなかったのでしょうか。
「プレートリーダーに1枚1枚、ペトリフィルム™ 培地を通さなければいけないというところに、当初はとまどいがあったようです。しかし、使い慣れてしまえば、培地調整を必要とせず、菌数測定の作業時間が短縮できるといったメリットのほうが大きいと感じています」 (広島工場 品質管理課 課長 小野嘉洋氏談)
「微生物検査の担当者は検査自体に慣れているため、新しい検査方法に慣れるまでに、それほど時間はかかりませんでした。広島工場の場合は、一週間程度でスムーズに作業が行えるようになり、準備、検査作業、片付けなど、さまざまな面で作業を効率化できることが確認できました」 (広島工場 品質管理課 係長 前島朋幸氏談)
マルハニチロホールディングス様では、寒天培地を用いる検査方法との比較、検証を通して現場環境や製品特性に適した検査方法であることを確認。2010年秋より、「3M™ ペトリフィルム™ 培地 生菌数測定用ACプレート」と「3M™ ペトリフィルム™ 培地 大腸菌群数測定用CCプレート」、プレートリーダーの本格導入を開始しました。
選定の理由1 | ペトリフィルム™ 培地、ペトリフィルム™ プレートリーダーの導入が検査の効率化、標準化を実現できる |
選定の理由2 | 世界的に認められた様々な検証方法によって妥当性が確認されている |
約40種類の冷凍食品を製造している広島工場では、原材料や製品、製造環境などの微生物検査にペトリフィルム™ 培地とプレートリーダーを使用。早朝から深夜まで稼働している製造ラインの拭き取り検査や製品の品質検査を毎日、決められた時間に実施しています。
「製造ラインの中で、品質管理担当が毎日チェックする箇所はその都度異なりますから、毎日検査室に届く検体数は一定ではありません。チェック箇所が増えて検体数が当初の予定を大幅に上回った場合、寒天培地はすぐに追加することができませんが、培地の準備がいらないペトリフィルム™ 培地は、検体数がどれだけ増えても即座に対応できるので、非常に便利で助かっています」(前島氏)
ペトリフィルム™ 培地とプレートリーダーの導入により、担当者の方々の精神的負担の軽減にも役立っているようです。
「今まで、寒天培地は朝、必要な量を用意するのですが、足りなくなっても急に追加はできないため、余裕を見て準備をしておく必要があります。そのため、時にはロスがたくさん出ることもあるし、逆に足りなくなるのではと懸念することが担当者の精神的な負担になっていた面がありました。万が一、コロニーが出た場合、寒天培地は培地調整ミスの可能性を含めて考察する必要があるのに対して、ペトリフィルム™ 培地による検査では、培地による影響を無視できますから調査範囲を狭めることができます」(小野氏)
ペトリフィルム™ 培地とプレートリーダーを利用した検査プロセス
※下記に基づき、当社にて算出したデータです。
一日の検体数:20検体|対象菌種:一般生菌(使用枚数:80枚)・大腸菌群(使用枚数:40枚)|オートクレーブの消費電力:2kW /時間|恒温水槽の消費電力:1.4kW /時間|培養器の消費電力:0.098kW /時間
節電 | 培地作成が不要 |
培地作成時にオートクレーブや恒温水槽を使用する必要がありません。
節電 | 廃棄量が削減 |
シャーレと比較して体積が小さいため、オートクレーブを使用する頻度を減らす事ができます。
「課題だった人によるばらつきがなくなったことで、以前に比べて検査データを分析・評価しやすくなりました。また、シャーレの場合は1日に何度も滅菌、廃棄処理をしなければなりませんが、ペトリフィルム™ 培地は、シャーレに比べてかさばらないので廃棄にかかる労力もかなり削減されました。オートクレーブの使用回数が減れば節電にもつながりますし、プラスチック製のシャーレに比べてCO2排出量も削減できるので、今後は環境面の効果も期待できると思います。加えて、保管、培養、廃棄にかかるスペースが小さく、スペースを有効活用できる点も導入メリットの一つとなっています」(田島氏)
テスト導入から約1年。マルハニチロホールディングス様では今後、コストメリットを含めたトータルな導入効果の検証を本格的に行っていく予定です。
「物流で言うサプライチェーンマネジメントではお客様の手元に届くところまでのトータルコストを考えて、コストダウンしていこうという動きになっています。品質管理も同じで、単に資材費だけを比べるのではなく、品質管理担当者の工数や、教育訓練にかかるコストまで含めて考えていく必要があります。コストは目に見える部分と見えない部分がありますから、導入による副次的な効果を含めるとトータル的にはコストメリットを生み出すことができると考えています。」 (渡辺氏)
本物・安心・健康な「食」を提供するために、厳しい社内規定を定め、徹底した品質管理を実施しているマルハニチロホールディングス様。安全、安心を最優先にした製品づくりを進め、世界の食卓に「おいしいしあわせ」を届けるグローバルなビジネスに、ペトリフィルム™ 培地とプレートリーダーが役立てられています。
「現在は国によって検査の方式が違うため、日本の公定法で検査しても海外では通じませんが、『この検査方法なら世界中どこでもOK』となれば、国境を越えたビジネス展開が可能になります。厳しい経営環境の中で品質管理を徹底し、安心・安全な商品を安く提供していくためには、ペトリフィルム™ 培地やプレートリーダーのような世界的に信頼性の高い最新ツールをうまく活用していく必要があると思います。今回、グループ各社に水平的に導入した効果は今後、確実に現れてくるでしょう。」(渡辺氏)
効果・メリット1 | ペトリフィルム™ 培地は、検体数がどれだけ増えても即座に対応できる |
効果・メリット2 | 寒天培地の過不足や調整ミスなどによる精神的負担も軽減される |
効果・メリット3 | 検査精度の向上に加えて、廃棄処理にかかる労力の軽減、節電の効果が期待できる |
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