冷凍加工食品のリーディングカンパニーであるニチレイグループ様では、製品の安全・安心の確保に不可欠な微生物検査の精度向上と業務効率化を図り、1995 年から3M™ ペトリフィルム™ 培地を導入しています。
株式会社ニチレイ
品質保証部 食品安全センター
所長代理
株式会社ニチレイ
品質保証部 食品安全センター
マネージャー
ニチレイグループ様は、食に関わる企業グループとしての責任を果たしていくために、品質保証活動のレベルアップに取り組んでいます。その一環として、微生物検査を実施していますが、寒天培地を用いた従来の方法は検査精度と効率性の面で課題がありました。
導入に際しては、ペトリフィルム™ 培地の信頼性を検証する事前評価を実施。その結果、ペトリフィルム™ 培地での検査結果と従来の方法での検査結果に相関関係があることが確認できたことから、ペトリフィルム™ 培地の導入を決定しました。
ペトリフィルム™ 培地の導入によって、培地づくり(培地調整)や細菌のコロニー(菌集落)の判定・カウントに要する時間が短縮でき、検査業務は大きく効率化しました。また、プラスチックごみの削減や、検査に必要な材料や器具の保管スペースの削減も実現しました。
本社所在地 | 東京都中央区築地6-19-20 |
設立 | 1945 年12 月1 日 |
資本金 | 30,307百万円 |
売上高 | 463,591百万円(連結、2008 年3 月期) |
従業員数 | 6,054 名(連結、2008 年3 月31 日現在) |
企業集団の事業内容 | 加工食品事業、水産事業、畜産事業、低温物流事業、不動産事業、バイオサイエンス事業 |
ニチレイグループ様は、“「おいしさ」と「新鮮」をネットワークする。”というブランドステートメントを掲げ、冷凍食品やレトルト食品、清 涼飲料水「アセロラドリンク」といった加工食品や、水産品、畜産品など、多彩な商品を提供しています。食に関わる企業グループとしての責任を積極的に果たしていくために、グループを横断する「品質保証委員会」を組織して、各社の品質保証活動の評価・検証やお客様からのご意見・ご要望の共有化を図るなど、品質保証活動のレベルアップに継続的に取り組んでいます。
この品質保証活動において重要な役割を果たしているのが、株式会社ニチレイ様の「食品安全センター」です。同センターは、(1)各グループ会社の主要製品の安全性を検証する「監査検査」、(2)お客様への製品情報の提供や、お客様からのお問い合わせに対応するために行う「依頼検査」、(3)各グループ会社の工場で実施している品質検査の指導を担っています。監査検査・依頼検査では、加工食品に含まれる微生物、野菜などに含まれる残留農薬、水産品や畜産品に含まれる化学品(医薬品)などを主な検査項目としています。
これらのなかで細菌やカビの有無や量を調べる「微生物検査」を、同センターでは、従来、寒天培地を用いた方法で行ってきました。これは粉末状の寒天を精製水で溶かしてプラスチック製のシャーレ内に培地をつくり、そこに検体を滴下して細菌を培養・検査する方法です。微生物学の分野では長年にわたり幅広く使われてきた手法ですが、この培養方法には検査精度の向上や作業の効率性を図る上で大きな課題がありました。
「シャーレを使う検査は、通常、培地づくり(培地調整)と検体の培養に2、3日程度がかかる上、一定のノウハウが必要です。また、培養された細菌のコロニー(菌集落)をカウントする際、それがコロニーなのか食品残渣の一部なのか見分けるのが難しいというのも課題でした。グループの冷凍食品は、この微生物検査を合格した商品でないと出荷できないルールがありますから、検査に時間がかかると、その分、在庫コストも増大してしまいます」
(同センター所長代理の亀井誠氏談)
そこで、微生物検査をより簡便かつ確実に実施できる方法を検討した結果、食品安全センターが注目したのが、3M™ ペトリフィルム™培地でした。
ペトリフィルム™ 培地は、乾式のフィルム状“できあがり培地”で、包装を開封すればすぐに使用できるのが大きな特長です。培地調整やシャーレ滅菌の作業が不要になるなど、微生物検査の効率化と作業性の向上に大きく貢献します。
この新しい検査方法の導入に際して、同センターではペトリフィルム™ 培地を使った場合と従来の寒天培地を使った場合、それぞれに複数の検体を使って、コロニー数を比較するなど、ペトリフィルム™ 培地の信頼性を慎重に検証しました。
「製品の安全性や品質を検査するために使うものですから、信頼性の検証に時間をかけるのは当然のことです。ペトリフィルム™ 培地の導入にあたっては、当社の製品から数十種類の検体を用いて2つの方法を何度も比較しました。その結果、双方の結果に相関があることが確認されました」( 同センターマネージャーの島原義臣氏談)
「加えて、シャーレを使った検査と比べて、コロニーの判定もしやすく、カウント作業に要する時間を短縮できることも確認でき、ペトリフィルム™ 培地の導入に十分なメリットがあると判断しました」(島原氏)
選定の理由1 | 従来の検査方法とペトリフィルム™ 培地での検査結果を比較して相関関係があることが確認できた |
選定の理由2 | 培地調整や滅菌などの作業工程が不要となり、検査業務の効率化が期待できた |
1. 冷凍保存の一部を検体として採取
2. 希釈液を加えた検体をペトリフィルム™培地に滴下
3. ペトリフィルム™ 培地を培養器に入れて培養
4. 培養後、ペトリフィルム™ 培地上のコロニーをカウント
こうした事前評価を経て、食品安全センターでは、1995年に3M™ペトリフィルム™ 培地の「生菌数測定用ACプレート」「大腸菌群数測定用プレートCCプレート」「E.coliおよび大腸菌群数測定用ECプレート」を導入。さらに、2008年から「黄色ブドウ球菌測定用STXプレート」と「大腸菌選択測定用SECプレート」も導入しています。
これらペトリフィルム™ 培地の導入効果によって、同センターや各工場の検査業務は大きく効率化されました。
「ペトリフィルム™ 培地は、培養後に形成されるコロニーを判定しやすいように工夫されています。たとえば、ACプレートの場合、プレート上に黄色い格子状の線が印刷されているのに加え、指示薬の効果によってコロニーはコントラストがはっきりとした赤い点として確認することができます。見やすい、数えやすいというのが実感で、誰でも正確にカウントすることができます」(島原氏)
また、検査に要する時間も大幅に短縮されました。ペトリフィルム™培地の導入によって培地調整などの作業工程が不要となったのに加え、培養時間についても、たとえば従来48時間を要していた黄色ブドウ球菌の培養時間はSTXプレートを使うことで24時間に短縮できました。さらに、コロニーの判定が容易になったことで、カウントに要する時間も従来に比べて5分の1から最大10分の1まで短縮することができました。
「このほかにも、シャーレが不要になったために廃棄するプラスチックごみの量を減らすことができたり、検査に必要な材料や器具を保 管するスペースも削減できたなど多くの導入効果がありました」(亀井氏)
効果・メリット1 | 培地調整や滅菌に関わる業務負荷が軽減できた |
効果・メリット2 | コロニーの判定・カウントの時間を最大10分の1に短縮できた |
効果・メリット3 | プラスチックゴミの廃棄量と検査材料・器具の保管スペースを削減できた |
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