工程の衛生管理が正しく行われていることを検証するための方法の1つとして微生物検査があります。
ここでは、これから微生物検査をはじめる方におすすめの「迅速・簡便法」のメリットをご紹介します。
食品工場における微生物検査のほとんどは、日常の自主検査です。自主検査とは、微生物的な衛生状態を日常的に監視し、製品が衛生的に生産されているのかを調べ、もし管理基準と逸 脱した結果が出た場合に、どのような是正措置をとればよいかを決定することが目的です。
食品の微生物検査は「寒天培地を用いた方法」と「迅速・簡便法」に大別されます。寒天培地を利用した方法は、保健所などの行政による検査にも用いられています。しか し、寒天培地を利用した方法を実施するためには、規程された検査の手順を正確に実施することに加え、試験室の整備が必要になるなど日々の工程管理の微生物検査にはハードルが高 いことも事実です。そのため、「国際標準の試験法と比較したときに結果が同等である」ことが確認された(妥当性確認された)迅速・簡便法が食品事業者の日々の工程管理に適していると言われています。
日本国内の一般的な食品微生物検査法が収載されている「食品衛生検査指針」が2015年に大きく改訂されました。この2015年度版より上記の「妥当性確認された検査法」 の重要性 と該当する試験法の一覧が紹介されています。
1980年代のことです。ある3Mの科学者は、シャーレに寒天培地を準備する作業を「退屈だし、より大切な仕事をする時間を奪っている」と感じていま した。加えて、シャーレに準備された寒天培地は保管の場所をとるうえ寿命が短く、期限切れのまま捨てられることも多くありました。そこで、その科 学者は、フィルムでコーティングされている寿命の長い培地を作れないかと思いつき、3Mのメンディングテープを保護フィルムとして使って実験を始め ました。
こうして誕生したのが、微生物検査を誰でも簡単にできる
「3M™ ペトリフィルム™ 培地」です。
食品の微生物検査において、検査対象となる菌種は食品毎に異なります。一般的に実施される菌種としては、生菌、大腸菌群、E. coli(大腸菌)、黄色ブドウ球菌があります。ここでは一般生菌数検査を例に、寒天培地を用いた検査方法と、3M™ ペトリフィルム™ 培地を利用した検査方法の違いをご説明します。
器具準備 … 「検査で使用する培地」または「検査を実施する食品検体の試料液」を調製するために必要な器具を準備します(無菌操作で使用するものは、事前に滅菌します)
培地調製 … 培地の取扱説明書に従い、検査に使用する量の培地を調製または準備します
接種 … 検査を実施する食品検体の試料液またはその希釈した溶液を、予め準備した培地と混合させます
培養 … 適切な温度に設定した培養器に培地を適切な期間静置し、培地に微生物の集落(コロニー)を形成させます
測定 … 培地上に成育した微生物のコロニーの数を測定します
寒天培地を用いた微生物検査では、様々な器具を必要とし、培地を調製するためには秤量~溶解~滅菌のプロセスがあります。また、寒天培地は厚みがあるため培地に微生物のコロニーが上下に重なって形成されていることがあります。そのため、寒天培地の測定は注意深く行わなければなりません。
一方、3M™ ペトリフィルム™ 培地を用いた微生物検査では、検査に必要な器具が少なく、できあがり培地のため培地調製も不要です。また、測定時には薄い培地上にコロニーが上下に重ならずに形成され、そして、コロニーが染色されているため測定が容易というメリットがあります。そのため、必要最低限の器具と3M™ ペトリフィルム™ 培地をご準備いただければ、自社で微生物試験を導入することが可能です。
すべての食品事業者はHACCP制度化を避けて通ることが できません。
文書や記録で安全な衛生管理を証明できる”仕組み(HACCPの考え方に基づく衛生管理)”の導入が求められて います。
食品の衛生管理は、従来の「最終製品の抜き取り検査の仕組 み」から、HACCPに基づく工程管理へ変わります。
HACCPに基づく工程管理を行えば、生産力・商品力・企 業力の向上が可能です。
工程の衛生管理が正しく行われていることを検証するため の方法の1つとして微生物検査があります。微生物検査の 手法は「寒天培地を用いた方法」と「迅速・簡便法」に大 きく分けられます。ここでは、これから微生物検査をはじ める方におすすめの「迅速・簡便法」のメリットをご紹介 します。