2021年、私たちは科学の力を頼りに、元の生活を取り戻すために回復への道を歩み始めています。ワクチンが日本や世界各国に広まり始め、一年ぶりに希望の光が見えてきましたが、その希望はまさに科学の肩にかかっていると言えます。
科学は未来に希望を与えてくれる(89% グローバル)
科学のおかげで2021年は2020年よりも良い年になると期待している(87% グローバル)
今後5年間で科学は人生をより良くすると思う(76% グローバル)
希望と科学の間に見られる相関関係は、旅行したり、家族や友人と過ごすなど親密な人間関係を取り戻したいという願いに限定されるものではありません。今、科学には私たちの健康以外の優先課題も解決できるという期待が込められています。
70% 環境に対する意識が高まった(77% グローバル)
90% 将来の幸福のために科学者は重要な存在である(91% グローバル)
43% 科学者や医療従事者は若い世代が将来STEM分野のキャリアを追求するきっかけになったと思う(62% グローバル)
この希望は、さまざまな形で過去12か月間に私たちが科学に寄せた信頼の結果であると言えるかもしれません。パンデミックから1年が経ち、日本における科学への信頼は2020年のパンデミック前調査のときよりも高くなっています(84% 日本 vs 91% グローバル)。
同時に、科学に対する懐疑的な意識(20% 日本 vs 27% グローバル)も、2020年のパンデミック前調査から低下しています。
科学への信頼が高まるにつれ、個人の信念や偏見よりも科学を支持する傾向が強まっています。その証拠に、「自身の思想や信念に沿う科学的な情報のみを信じる」という人の割合は、2020年のパンデミック前の調査から8ポイント低下しています。
65% 科学を疑問視する人がいれば、科学を擁護する(75% グローバル)
75% 科学が重視されなければ、社会に悪影響が出る(85% グローバル)
多くの人びとはCOVID-19の拡大を抑制するために、科学的に推奨される事に従うべきとだと信じており、大多数の人びとが安全を確保するために常に推奨された行動をとることに同意しています。
92% 公共の場でマスクを着用する(83% グローバル)
77% 頻繁に手洗いを行う(78% グローバル)
76% 大人数での集まりを避ける(79% グローバル)
パンデミックから1年が経ち、COVID-19が終息した後でも科学への新たな関心が冷めないかを予測するには時期尚早ですが、科学を受け入れることを示す初期の兆候はいくつか見られます。
70% パンデミックの収束後も科学を重視する傾向は続くと思う(59% グローバル)
30% 科学を重視する傾向は続かないと思う/どちらとも言えない(41% グローバル)
88% STEM分野のキャリアを追求する人が世界にはもっと必要だ(90% グローバル)
35% パンデミックによって、STEM分野の職業を追求するきっかけになった(60% グローバル)
66% 過小評価されたマイノリティはSTEM教育を平等に受けられないことが多いと思う(73% グローバル)
82% 女性や少女がSTEM教育に取り組み続けることを奨励するには、まだすべきことがたくさんあると思う(87% グローバル)
STEM分野でのダイバーシティがさらに推進されれば、科学者同士のグローバルな連携、より革新的なアイデア、既存の研究手法に対する新たな改良が実現されるでしょう。
有色人種の女性がSTEM教育におけるジェンダーの平等化をリードし、多くの教育機関がSTEMにおけるダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)の向上に力を注いでおり、世界が平等な社会の実現に向かっているのは誇らしいことです。
90% の人が、企業はSTEM分野におけるダイバーシティを推進させる上で、重要な役割を果たすべきだと回答しました。STEM教育の支援に企業が関与すべきだと考える人びとが企業に期待する行動の上位には、子どもたちが科学に親しむためのリソースの提供(55%)、子供たちに科学を好きになってもらうための投資(50%)、科学の授業で教師が使用できる教育資源の作成(43%)、過小評価された学生への助成金・奨学金の提供(38%)などが挙げられました。
人びとは、海洋プラスチック汚染、気候変動、自然災害の激化、大気汚染などについて、1年前よりも懸念を抱いています。
74% 世界をより持続可能なものにするために、人びとは科学に従うべきである(89% グローバル)
科学における連携は非常に重要で、パンデミックの影響で科学への一層の投資が世界的に求められています。国家間や官民の連携が優先されます
今回のパンデミックで、各国が科学の知識やリソースを共有するのを目の当たりにしたことで、国家間の連携に対する意識や重要性が高まったのかもしれません。このことは公共・民間機関にも当てはまり,科学の発展のためには機関の垣根を越えた連携がもっと必要だと考える人が91%(世界全体では92%)に達しました.また人びとは、科学の影響、科学への出資、政策の間に相関関係があると考えていることが推察されます。
91% 世界が直面するパンデミックや気候変動などの大きな課題においては、世界各国は科学的解決策を生み出すために協力すべきである(91% グローバル)。
91% パンデミックの影響で、科学にはより多くの資金/財政支援が必要である(92% グローバル)。
人びとは企業のサポートを期待していますが、この半年間(2020年後半~2021年初頭)に起きた出来事の中で、企業の取り組みが期待されているトップ3は以下のとおりです。
1. 将来のパンデミックへの備え(61%)
2. 世界の課題を解決する規制/政策を提唱するために政府と連携(58%)
3. 気候変動の影響を緩和するイノベーションへの投資(50%)
そしてサステナブルな未来を築くために、企業がとるべき具体的な行動として挙げられたのは以下のとおりです。
1. 開発する製品にリサイクル・再生可能な素材を使用する(70%)
2. 施設から発生する産業廃棄物を削減する(63%)
3. 製品のプラスチック使用量を削減する(60%)