しばらく時間をおいてから再度お試しください
フォームが正しく送信されました。
プロトン交換膜(PEM)水電解法は、グリーン水素を製造する方法として非常に期待されています。ただしPEM水電解装置は高価であり、コストの高いイリジウム系触媒が必要となることが多いです。そのため、メタン水蒸気改質法に匹敵する競争力を得るには至らず、拡張性とコスト効率性に課題が残っています。
現在開発が進められている3M™ Nanostructured Supported Iridium Catalyst Powder(ナノ構造担持イリジウム触媒パウダー)を利用すれば、PEM水電解装置のコストを抑えることができます*。同触媒を10グラム追加するごとに、年間の水素製造量が10トン増加します。また水蒸気改質法と比較して、年間100トンのCO₂排出量を削減する効果が得られます。イリジウムの使用量を削減しシステムのコストを抑えることで、電解槽の効率性と寿命に関する要件を満たすことができます。
3Mでは米国エネルギー省による支援のもとこの触媒を開発しました。この触媒を活用することで、PEM水電解を大規模に展開し、グリーン水素の製造を拡大できます。
* 本製品は開発中の製品であり、一般への販売は行っていません。また本製品の配合、性能特性、その他の性質、仕様(該当する場合)、入手可能性、および価格は保証されておらず、通知なく変更または撤回される可能性があります。
アルカリ水電解法には高い精度が求められます。アルカリ水電解法の効率性を最大限に高め、コストを管理してグリーン水素の製造を経済的に見合うものとするためには、温度と流量、電解質濃度を制御しなければなりません。そのためには、信頼性の高い精密な液体処理システムをアルカリ水電解槽に搭載する必要があります。
3Mでは、さまざまな液体処理用途に使用されているカスタム仕様の産業用セラミックコンポーネントを提供しています。3M™ Silicon Carbide Sliding Bearings(シリコンカーバイド滑り軸受)は、高荷重下におけるトライボロジー性能と優れた耐腐食性・耐摩耗性を兼ね備えた製品です。当製品は、各種のプロセス流体(腐食性酸・アルカリを含む)に適合しており、密閉型遠心力ポンプや攪拌装置に適した産業用ポンプやプロセスポンプに使用されています。
3Mは産業用セラミック部品として、シールや軸受けなどの液体処理部品も提供しています。いずれも用途の要件に合わせてカスタマイズが可能です。詳しくは当社までお問い合わせください。
固体酸化物形電解法は、クリーンエネルギーへの移行において重要な役割を担うことが期待されています。固体酸化物形電解セルは、PEM水電解やアルカリ水電解槽を上回るエネルギー効率を達成する可能性を秘めており、実現すればコスト効率に優れた低炭素水素の製造が可能です。この方法は、原子力発電を利用した水素(ピンク水素)の製造など、廃熱の利用が可能な用途に適しています。
ただし、固体酸化物形電解法が商業化に至るまでには、まだまだ障害が残っています。固体酸化物形電解槽は、最高1,000°Cの高温で作動するため、機械的劣化や化学的劣化が進み、電解槽の寿命が短くなります。固体酸化物形電解槽の設計においては、熱応力の管理とコストの抑制を同時に実現することが根本的な課題となっています。
世界の大手エネルギー会社は、固体酸化物形燃料電池に 3M™ ネクステル™ セラミックファイバー/テキスタイル を使用することにより、スタックの健全性を維持し、セルの寿命を延ばしてきました。ネクステルファイバーは極度の高低温や熱サイクルに対する耐性を備えており、3Mでは固体酸化物形燃料電池分野における同製品の可能性を追求しています。詳しくは当社までお問い合わせください。
通常の産業稼働条件下では、3M™ Nanostructured Supported Iridium Catalyst Powder(ナノ構造担持イリジウム触媒パウダー)を10グラム追加するごとに、PEM水電解による年間水素製造量を最大10トン増やすことができます。それを可能にしているのが、必要なイリジウム触媒面積充填量が5グラム(gIr/m²)以下であるという事実です。この値は、他の触媒の要件(20~25 gIr/m²)を大幅に下回っています。
実験室試験条件下では、5 gIr/m2の触媒を使用することにより、一般的な産業の耐久性要件(電流密度が10 A/cm2以下、稼働温度80°Cにおける減衰率が1000時間あたり3 mV以下)を満たすことができています。
グリーン水素とは、再生可能エネルギーを電力源とする水素水電解によって製造した水素のことで、製造工程で炭素を排出しません。そのため、鉄鋼や長距離輸送など、脱炭素化が困難なセクターに適したクリーンエネルギーソリューションです。
現在は約95%の水素が天然ガスを使用して製造されています1。ただし予測では、グリーン水素市場は2021年の18億3,000万ドルから急成長し、2030年までに892億ドルに達します2。3M™ Nanostructured Supported Iridium Catalyst Powder(ナノ構造担持イリジウム触媒パウダー)は、グリーン水素の製造のコスト削減に貢献し、その製造拡大において重要な役割を果たす可能性を秘めています。当社の気候・エネルギー技術に関する詳細については、「3M 2023 Global Impact Report」(92ページ/PDF、10.18 MB)をご覧ください。
3Mはその幅広い技術プラットフォームを活用し、脱炭素化に関する問題の解決に向けて全世界のお客様をサポートします。業界をリードする当社の接着剤とシーリング材は、精密な設計に関するニーズにも対応できます。
また低炭素エネルギー分離用途にも、膜分離技術に関する専門的知識を応用しています。膜分離技術は、再生可能燃料の製造や炭素捕捉など、新たな脱炭素技術の改良と高度化を後押しする大きな可能性を秘めています。詳しくは当社までお問い合わせください。
¹水素・燃料電池技術局.「Hydrogen Fuel Basics」Energy.gov.https://www.energy.gov/eere/fuelcells/hydrogen-fuel-basics. (参照 2023-7-28)
²Precedence Research.「Green Hydrogen Market Size to Surpass US$ 89.18 Bn by 2030」GlobeNewswire News Room、2022年1月11日 https://www.globenewswire.com/news-release/2022/01/11/2364715/0/en/Green-Hydrogen-Market-Size-to-Surpass-US-89-18-Bn-by-2030.html.