米国では毎年、医療費、労災補償、生産時間の損失など、職場における目の損傷に関連する費用に3億ドル以上が費やされています。
現場における深刻な目の傷害の90%以上は、適切な保護めがねの着用により防止できます。
米国のLiberty Mutual Research Institute for Safetyの調査によると、溶接作業に関連した目の怪我は全体の4分の1を占め、溶接作業者負傷事例として圧倒的な割合を占めていると判明しています。
適正に設計された溶接用シールドと自動遮光溶接面は、熱、スパッタ、放射線から顔面・眼を保護する上で、明確な効果があります。また、自動遮光溶接面を装備した溶接用シールドでは、手持ち面やかぶり面より、作業者に作業性と生産性の向上をもたらします。良好な視界が確保されていれば、頻繁にシールドを上げて、溶接個所を目視確認する回数が減少します。さらに 有害な紫外線あるいは赤外線に曝露される可能性が低くなり、周辺の作業者の発したアークの影響も受けにくいです。また、研削くずや溶接スパッタによる目への異物混入の可能性も低減します。
米国において、3M™ アドフロー™ 電動ファン付き呼吸用保護具を導入した企業では、目への異物混入事故が前年比で70%以上減少したことが報告されています。米国 FreightCar社のラス・ラッセル氏がEHS部長に着任した2012年当時は、目への負傷事故が発生していました。
調査の結果、事故の多くは目への異物混入に由来しており、作業中に直接受けたものではないと分かりました。
米国において、呼吸用保護具の不備は、最も頻繁に指摘される現場での逸脱行為の第4位に挙がっています。
情報元: Top 10 Most Frequently Cited Standard、米労働省(OSHA)、2015年版。
呼吸用保護具の違反対象の第1位に挙げられているのが金属加工製品製造業です。
溶接作業は、ヒュームを発生させます。こうした危険、リスクへの対処では、階層的な管理体制が必要になります。ヒュームの発生と作業者の曝露を最も低減させるだけでなく、作業者自身の負担を軽減することが優先されるというのが、基本的な考え方となります。しかしながら、溶接ヒューム対策には限界があることも認識することが必要です。
1. 溶接工程において、ヒュームの発生を低減し、極力毒性の強い汚染物質を排除した別工程に変更もしくは代替する。しかしながら、管理上の制限として代替が不可能な場合があります。例として、最終製品にステンレス鋼 (クロム) が使われている場合などです。
2.工学的管理には、 溶接作業者周辺の囲いの変更、作業場の全体換気、または局所的な排気が必要となります。管理上の制限としては、加熱/冷却もしくはシールドガスなど、換気が困難な場合があります。
3.作業にあたり、溶接作業者が煙条に頭を巻き込まれないように対応する必要があります。
管理上の制限:スペースに制限のある対象物や作業状況により、溶接作業者の頭部を煙条から隔離しておけない場合があります。
4.呼吸用保護具:ステップ1~3で曝露が低減できない場合、溶接作業者への呼吸用保護具が必要となる場合があります。管理上の制限:呼吸用保護具が必要であれば、企業は保護具とその選択、使用トレーニング、メンテナンスを含む体制を確立する必要があります。
米国国立衛生研究所によると、18歳以上のアメリカ人のうち3750万人(15%)が何らかの難聴を訴えており、20歳から69歳のアメリカ人のうち2600万人が騒音曝露に由来する難聴であると推定されています。
情報元:
https://www.nidcd.nih.gov/health/statistics/quick-statistics-hearing
米労働統計局(Bureau of Labor Statistics:BLS)は、製造業で働く人々にとって、職業性難聴は最も多い職業上の健康問題であると報告しています。2004年以降、約258,500人の労働者が重大かつ慢性的な難聴に苦しんでいます。
1日わずか5分が保護効果を著しく低下させます。
有害な音量の騒音--85デシベル以上の大音量--は、聴覚保護具を装着していない時間が作業時間全体の10%であっても、実質的には何の保護にもならないのです。騒音性難聴(Noise-induced hearing loss:NIHL)は耳の有毛細胞が消耗し、音を感じにくくなります。有毛細胞は他の細胞とは異なり、二度と再生しません。
情報元:
https://www.nidcd.nih.gov/health/noise-induced-hearing-loss
熱ストレスは職場環境において、苛立ち、集中力の低下、欠勤、手順の短縮、危険な行動などを引き起こす可能性のある、大きな問題です。極端な場合、熱ストレスが熱中症という形で致命的な結果を招く場合もあります。
熱への過度の曝露は労働者の健康、安全、生産性に深刻な影響を与える可能性を持っています。環境条件を正確に測定し、作業者の熱負荷を最小化または軽減できる個人用保護具を導入すれば、熱中症のリスクを軽減できます。
作業中の転落事故の可能性はありませんか?歩行・作業現場を定期的に点検し、危険な状態を是正していますか?安全な労働環境の実現に取り組んでいますか?
法改正を常に把握するのは、必要な第一歩です。2016年11月、米労働省(OSHA)は「歩行・作業現場(Walking and Working Surfaces)」に関する最終規則を発表し、既存の規格を更新しています。この規定は、産業全般のあらゆる職場に適用され、床、階段、梯子、傾斜路、足場、高架歩道などを対象としています。また、最終規則は幅広く一般産業に適用されるとはいえ、農業や建設業の基準を変更するものではありませんが、現代の建設業における要件との整合性を高める意図に基づいています。
例えば転落は、どのような高さからであっても、外傷の原因となる可能性があります。これらの新基準を遵守するための手段の理解は、従業員を保護し、コンプライアンスを達成するための鍵となり、罰則や、より重大な事故を回避するのに役立ちます。