術前
患者の主訴は、左上1番を両隣在歯のPFMにシェードを合わせて欲しいという審美的要求。ジルコニアで修復することとした。
歯質の削除量は、そのセラミックス指定のクリアランスと、X線、CTなどによる診断結果に基づいて決定しなければならない。
この症例では、唇面中央部に1mm、歯頚部に0.7mmのクリアランスを確保するため、長さ1.5mmのカーバイドバーを用いて、唇面中央、近遠心のラインアングルに3ヵ所、ガイドホールを付ける。ガイドホールの深さは、クリアランスの厚みにする。バー切削部の長さをガイドにするとよい。クリアランスは補綴物の材質によって異なるので、注意が必要。
切端部にも同様にガイドグルーブを付ける、ジルコニアの場合、切端部には1.5mm以上のクリアランスが必要。
ラインアングル部のガイドホール部周辺から、ダイヤモンドバーを用いて唇面の歯質を削除する。隣接部分は削除せず、最後まで残しておく。
切端部はガイドグルーブの深さで歯質を削除し、唇面も同様にガイドホールが消えるまで 歯質を削除する。
歯質の削除状態を切端側から確認しながら進めることが重要。口蓋側の場合も同様。
唇側の形成がおおよそ終わった時点で、口蓋側の形成に移る。唇側と同様にカーバイドバーを用いて、基底結節部に3ヵ所、唇側中央部に1ヵ所のガイドホールを開ける。
口蓋側は8番のラウンドバーを用いて、唇側と同じようにガイドホールが消えるまで歯質を削除する。メーカーが指示するクリアランスを守ることが大切。
口蓋側の形成が終了したら、残っていた隣接面の削除に移る。
コンタクト部分を削除し、引き続き歯頚部の形成に入る。ダイヤモンドバーを滑らせるように動かし、マージン部分は1mm幅のシャンファーに形成する。
ダイヤモンドバーをフェザータッチで操作し、支台歯に鋭角的な部分がないよう、滑らかに仕上げていく。
唇側の形成が終了したら口蓋側に移る。ダイヤモンドバーをフェザータッチで滑らせ、マージン部は唇側と同じ1mm幅のシャンファーに形成する。
アンダーカットがないこと、鋭角的な部分がないこと、滑らかな面に仕上がっていることを確認する。
切端側からも同様に、アンダーカットがないこと、鋭角的な部分がないこと、滑らかな面に仕上がっていることを確認する。
形成終了。
写真提供 : 椙岡 宣好 先生(金沢市ご開業)