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スキン-テア対策

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  • 独立行政法人東京都健康長寿医療センター
    看護部 看護師長
    皮膚・排泄ケア認定看護師
    野島 陽子 先生
    (前列 右から3人目)

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  • スキン-テアの早期発見を目指す

    当センターの患者さんの大半は高齢者で、60歳以上が90%を占めています。高齢者は加齢により皮膚が脆弱になるうえ、複数の疾患を抱えているケースがほとんどです。例えば、整形外科に入院しているけれども心臓疾患があり抗凝固剤を服用している、あるいは膠原病や気管支炎などでステロイド剤を長年服用しているといったケースは多々見られます。また、低栄養状態や、認知機能が低下している患者さんも少なくありません。これらはスキン-テアのリスク要因であり、当センターにおいてもスキン-テア対策は重要な課題の一つです。
    当センターの全患者さんに占めるスキン-テア院内発生率は、2016年度は約0.5%、2017年度は約0.6%と増えています。院内発生率がアップしているような印象を受けますが、スタッフのスキン-テアを診る力の向上、いわゆる“発見力”が上がってきたからだと捉えています。スキン-テア発生率の全国平均は0.77%といわれます1)。高齢患者さんが多い当センターの特性を考えると、発見に至っていないスキン-テア有病者はまだ多く存在すると思われます。今年度は「スキン-テアの早期発見率を上げよう」を現場の合言葉に取り組んでいるので、おそらく今年度のスキン-テア院内発生率はさらにアップすると見込んでいます。
    スキン-テア発生時の状況は、医療用テープ(以下、テープ)の剥離時が最も多いことが知られているため1)、当センターでは後述のとおりテープの扱い方についてさまざまな取り組みを行っています。現在、発生時の状況について調査集計中のため、詳細な内訳は不明ですが、取り組みの成果か実際のテープ剥離時のスキン-テア発生はそれほど多くなく、吸引や入浴介助の際に腕を上から掴んだ時のスキン-テアや、「就寝中の寝返りでベッド柵に手足をぶつけたと推測されるが、明確に断定できない」といった、いわゆる原因不明のスキン-テアが多く発生しています。

  • 患者さんに苦痛を与えないケアを最重要視した新規製品導入に向けた取り組み

    当センターは従来、ガーゼ固定などに剥離刺激が弱めの2種類のテープを使用していました。一つは少し硬め、もう一つは軟らかめのテープで、患者さんの肌によって使い分けをしていました。しかし、これらでもなお皮膚トラブルやスキン-テアを起こす患者さんがいることから、より角質剥離や剥がす時の痛みも少ない「3M™ やさしくはがせるシリコーンテープ(以下、シリコーンテープ)」の導入の検討を始めました。
    新規の医療材料を導入する際には、診療材料委員会の認可が必要です。すでに同じ用途で2種類のテープが導入されており、3種類目のテープの検討を進めるためには説得材料が必要でした。そこで、シリコーンテープの特長とともに、費用対効果を提示しました。例えばある患者さんにテープでスキン-テアが発生した場合、1枚1,000円の創傷被覆材(皮下組織用 ポリウレタンフォーム)を使うことが多いのですが、そうした患者さんは栄養状態も悪く創傷治癒の遷延に影響する薬剤の投与をされている方も多いので、治癒には2週間以上かかると想定し、週1回の交換で2週間継続すると合計2,000円になります。750円のシリコーンテープを予防的に使用して1巻使い切ったとしても、スキン-テア発生をおさえられれば、コスト削減に貢献できることを強調しました。また、それ以上に強く訴求した点は、患者さんに苦痛を与えないケアにつながるということです。皮膚トラブルやスキン-テア発生による苦痛は、患者さんやご家族の満足度の低下、ひいては病院への信頼を失うことになりかねません。診療材料委員会はこのことを理解し、「GVHD(移植片対宿主病)や強皮症など皮膚が脆弱な患者さんにのみ使用する」という条件のもと、シリコーンテープの導入が決定しました。

  • スキン-テア対策への正しい理解を深めるため複数の勉強会を継続して実施

    どの製品も、現場で正しく選択・使用されて初めてその効果を十分に得ることができます。当センターではスキン-テアや皮膚トラブルについてのさまざまな勉強会を開いており、それらを通じて看護スタッフはテープの正しい選択や使用法を年に1回以上は学んでいます。


    • 入職1年目の看護師:年1回
    • 入職2~3年目の看護師:年1回
    • 研修医:年1回
    • 褥瘡委員会メンバー:月1回の委員会内で
    • 院内の全看護師:年1回、委員会報告を兼ねて
    • 各病棟の看護師:随時、各病棟で
    • 看護助手:年1回
    • 近隣施設の看護師:不定期

    褥瘡委員会のメンバーは毎年入れ替わりますが、委員会内の勉強会で学んだことを各病棟に持ち帰って伝達するだけでなく、年1回の全看護師向け勉強会でスキン-テアと褥瘡の発生状況を報告し、勉強会の実施を自分たちで担うことで力をつけています。
    また、2018年度は看護助手を対象に行う勉強会で、スキン-テアをテーマにしました。看護助手が患者さんにテープを使用することはありませんが、患者さんとの会話の中でテープについて話題になった際に、基本的な知識を知っておくことは患者さんへのアドバイスにもつながり、必要なことだと考えました。さらに、当センターでは年配の看護助手が多いことから、テープの適切な使用法を知っておくことは看護助手自身やその家族のスキン-テア予防に役立つと考えたからです。
    勉強会では、参加者に剥離刺激が弱めの3種類のテープと固定力の強い紙テープおよびフィルムテープを実際に腕に貼ったり剥がしたりしてもらい、テープの特徴をより深く知ってもらう場にしています(写真1)。剥離刺激が弱めのテープでも間違った剥がし方をすると痛みを感じることを実際に体験し、剥離方法の重要性を伝えています。
    また、例えば2.5センチ幅のテープで十分な症例であっても、単に「そこにあったから」という理由だけで、5センチ幅を使うケースが散見されるため、勉強会ではテープを選ぶ際には種類だけでなく、テープ幅にも注意が必要であることを強調しています。無駄に多く貼ることはコストの増加だけでなく、皮膚に密着している面積が広くなるため剥離時に痛みを感じるケースやスキン-テアの発生を高める可能性も考えられます。他にも、横向きの皮膚の皺に縦向きにテープを貼ると、皺に逆らうことで動いたときにテープがよれたりつっぱったりすることから、貼る方向にも適不適があること等、現場に即した内容となるよう心がけています。
    勉強会ではスキン-テアのアセスメント力を向上させるために、看護師対象の勉強会で事例を提示するだけでなく、その患者さんに適した管理法やテープの選択を各自で考えてもらうようにしています。
    また、当センターでは地元の板橋区や東京北西部の訪問看護師を対象とした勉強会も開いており、スキン-テアや皮膚トラブルがテーマの際は、テープの種類や適切な使用法についても講義するようにしています。

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退院後の患者・家族のニーズに対応した教育体制づくり

当センターでは、退院時に褥瘡や潰瘍、スキン-テアがある患者さんには、ドレッシング材の使用をお勧めすることがあります。しかし、経済的な理由などからドレッシング材の使用が困難、あるいは老々介護などによりドレッシング材使用による皮膚の炎症、感染の見極めが難しいと思われる場合にはガーゼとテープ、軟膏の使用を提案します。創傷の状態だけではなく、患者さんの家庭環境を考慮して使用する医療材料を選択しています。
ストーマの患者さんには、平均して造設翌日、歩行が開始された頃より、徐々にセルフケアの指導を始めます。粘着式ストーマ装具の面板は皮膚保護材が使用されているので本来は装具の周囲にテープを貼る必要がないことや、テープを貼るとあせもや痒み、スキン-テアなどの皮膚トラブルの原因となるので、極力テープは貼らないようにと指導しています。それでもなお、テープを貼らないと排泄物の漏れが心配でテープの使用を切望される患者さんには、シリコーンテープを勧めています(写真2、3)。

  • 写真2
    ストーマ周囲のシリコーンテープ貼付例

  • 写真3
    シリコーンテープ剥離後の皮膚の状態

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テープは私たちの生活に非常に身近なアイテムです。どの家庭や職場にも文房具用テープや絆創膏など1~2種のテープはあるのではないでしょうか。以前、ストーマの面板の周囲をガムテープでしっかり貼って、ストーマ外来に来られた患者さんがいました。テープであれば何でも構わないと思われていたようですが、そのガムテープを剥がすと、予測どおり皮膚に炎症が起きていました。
こうした経験から、入院中からテープを使用している患者さんにはセルフケアの指導時に、テープの使い方や剥がし方、さらには、在宅に戻られた時に引き続き同じ製品を使用するための購入場所や購入方法などの情報を伝えています。入院中にテープを使用していない患者さんに対しては、退院前指導またはストーマ外来時に指導できるよう体制を整備しています。
高齢者が使用するテープは、剥離紙がないことが望ましいと思っています。高齢者の場合、手指の機能低下により細かな動作が難しく、剥離紙がテープの粘着剤に薄く残ってしまうことがあり、それに気がつかないまま皮膚に貼ると、肌と密着しない部分ができてしまいます。また剥離紙を除去する際にテープがくしゃっと丸まってしまい、使用できなくなることは多々見受けられます。シリコーンテープは肌にやさしいことはもちろんですが、剥離紙がない構造や防水仕様であること、コシがありへたりにくいことなども、高齢な患者さんやそのご家族にとって扱いやすい製品だと思います。

  • 組織で取り組むスキン-テア対策~患者満足度、病院信頼度の向上へ~

    テープを使用する場面は褥瘡分野に限りません。感染症や認知症、糖尿病看護においてもスキン-テア対策は重要です。例えば、フットケア外来で、巻き爪の患者さんに対し、爪で皮膚を傷つけないようにテーピングをすることがよくあります。高齢の糖尿病患者さんで浮腫があり、かつ皮膚が脆弱であったとしたらどのようなテープを選択すればよいでしょうか。ある程度の固定力を求めたいけれど、テープを剥がすときに角質剥離の危険性があります。ここでも慎重にテープを選ぶ必要があります。褥瘡がある認知症患者さんに、貼付したテープを剥がす動作が見受けられたら、それは認知症からくる行動ではなく、もしかすると剥がしたくなるような貼り方をしているのかもしれません。それぞれの分野で、これを機に改めてテープの適正使用について見直す必要があると感じます。
    どんなに肌にやさしいテープでも角質剥離はゼロではないといわれており、角質剥離をよりゼロに近づけるには、必要に応じて被膜剤を用いたうえでテープを貼るとよいという報告が学会等でも散見されます。皮膚が脆弱な患者さんには、シリコーンテープのような肌にやさしいテープを適切に使用するだけでなく、シリコーンテープ以外のテープを使う時にも、必要に応じて3M™ キャビロン™ 非アルコール性皮膜を併用するなどして、スキン-テア対策をより充実させていきたいと考えています。

    今回の診療報酬改定で入院時に行う褥瘡に関する危険因子の評価にスキン-テアが加わり、医療現場でテープへの関心が高まっていることはとてもよい傾向だと思います。当センターにおいても、今後は分野を超えた組織で情報共有をしながらスキン-テアのケアに取り組み、更なる看護の質の向上を目指します。それは医療の質の向上とともに、患者満足度の向上、ひいては病院の信頼度の向上にもつながると確信しています。

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引用文献
1)一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会編.ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理,2015


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収録:2018年7月 独立行政法人東京都健康長寿医療センターにて
一施設の事例であり、3M™ やさしくはがせるシリコーンテープの使用によりスキン-テアやスキントラブルが起きないことを保証するものではありません。
3M、キャビロンは3M社の商標です。



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