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医療用製品

粘着製品による皮膚トラブルからお肌をまもるために

「摩擦・ずれによって、皮膚が裂けて生じる真皮深層までの損傷(部分層損傷)を皮膚裂傷(スキン-テア)」※1と言います。その有病率は「高齢者」に多く、発生状況は「テープ剥離時」が最も多いと報告があります。また、医療安全の視点からは皮膚裂傷が起きるとインシデントで報告する事案です。高齢者の増加に伴い、皮膚が脆弱な方が多く、テープ剥離時の皮膚裂傷のリスクを減らすためにはどのような配慮や工夫が必要でしょうか。

※1 ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理 より引用(一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会)

◆インシデント影響度分類

レベル 傷害の継続性 傷害の継続性 傷害の内容
レベル5 死亡   死亡(原疾患の自然経過によるものを除く)
レベル4b 永続的 中等度~高度 永続的な傷害や後遺症が残り、有意な機能障害や美容上の問題を伴う
レベル4a 永続的 軽度~中等度 永続的な傷害や後遺症が残ったが、有意な機能障害や美容上の問題は伴わない
レベル3b 一過性 高度 濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など)
レベル3a 一過性 中等度 簡単な処置や治療を要した(消毒、湿布、皮膚の縫合、鎮痛剤の投与など)
レベル2 一過性 軽度 処置や治療は行わなかった(患者観察の強化、バイタルサインの軽度変化、安全確認のための検査などの必要性は生じた)
レベル1 なし   患者への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない)
レベル0   エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られたが、患者には実施されなかった
その他      

国立大学附属病院における医療上の事故等の公表に関する指針(改訂版),2014. より引用

◆スキン-テアの発生と再発の予防ケアのために

医療用テープは、以下のように使用するとよい。

• 医療用テープ以外の固定方法がないかを検討する。
• 角層剥離の少ない低刺激性の粘着剤(シリコーン系)を選択する。
• 皮膚被膜剤を使用してからテープを貼付する。あるいは、テープ交換回数が多い場合には、テープ使用部位に板状の皮膚保護剤、あるいは創傷被覆材などを貼付してからテープを使用する。
• テープ貼付部の皮膚に緊張が加わらないように、テープの中心から外側に向かって貼付する。
• 粘着剥離剤を使用しながら、ゆっくりとテープを反転させて剥離を行う。
• テープの端は、皮膚を指や爪などで強く擦らずに、緩める。剥がれにくい場合には、テープの端を折り曲げておき、つまみを作る方法もある。

ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理 より引用(一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会)


患者の状態と固定用途に合わせて対策を検討しましょう

個体要因のリスクアセスメントを実施し、皮膚の状態が脆弱であると判断した場合には、何らかのスキン-テア対策を実施しましょう。
3Mでは、必要な固定力が弱い場合には皮膚にやさしいテープを、必要な固定力が強い場合には被膜剤や剥離剤を使用することをおすすめしています。

  • 個体要因のリスクアセスメント表

    個体要因のリスクアセスメント表

    ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理 より引用(一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会)

  • 患者の状態に合わせたスキン-テア対策

    患者の状態に合わせたスキン-テア対策

    このイラストはイメージです。


対策製品の例

  • やわらかい“シリコーン粘着剤”のテープです。皮膚や体毛からやさしく剥がせるので、患者様の痛みを軽減できます。

  • 肌にフィットするしなやかな不織布でありながら、手で楽にキレイに切れるテープです。やわらかアクリル系粘着剤により、肌にピタッと密着し、角質剥離と剥離時の痛みを軽減します。

  • はっ水性の皮膜を形成する、非アルコール性の皮膜剤です。テープや粘着製品の剥離刺激等からお肌を保護します。皮膜の上から粘着製品を使用することが可能です。

  • 粘着製品やストーマ装具を簡単にはがすことができるはくり剤です。シリコーン系のはくり剤が皮膚と粘着製品の隙間に入り、粘着剤を皮膚から浮かせてはがします。非アルコール性で低刺激です。


スキンケア製品の使い方を動画でまなぶ

  • 皮膜剤の使用方法

    皮膜剤の使用方法

    粘着製品の剥離刺激からお肌を保護するために、皮膜剤を併用します。

    再生時間:2分1秒

  • はくり剤の使用方法

    はくり剤の使用方法

    粘着製品をお肌からやさしく剥がす、はくり剤(リムーバー)の使用方法です。

    再生時間:1分34秒

  • 剥離剤と皮膜剤の使い分けによる皮膚トラブル対策

    はくり剤と皮膜剤の使い分けによる皮膚トラブル対策

    気管内チューブ、中心静脈カテーテル、対極板、サージカルドレープの使用に際して、はくり剤と皮膜剤のどちらを使用するとよいか、使い分けの目安を解説します。また、皮膚や各種チューブへの糊残りがあった場合の、はくり剤を使用した除去方法も紹介しています。

    再生時間:4分36秒