異種の金属の被着体の接着接合

異種の金属の被着体の接着接合

設計工程における金属の接合・接着。

3Mのエキスパートに聞く

金属を用いたデザイン

メーカーにとって、金属は費用対効果がよく、幅広い温度に対応でき、耐候性と強度が非常に優れている材料です。 エンドユーザーにとって、金属は、 頑丈で剛性があり、冷感が得られ、見た目もクールな材料として信頼されています。 金属は、工業用合金からハイテク合金まで、自由に形状を変えられます。

金属はどのような成形・加工方法にも対応できる特性があり、 鋳造、スタンピング、曲げ、展伸だけでなく、鍛造も可能です。 3Mは金属の特性を理解し、金属の接着接合方法をご提案しています。


従来の接合法と接着接合の比較

  • 従来の接合方法による接合と接着剤・テープによる接合の比較

    従来の接合方法による接合と接着剤・テープによる接合の比較

    金属の接合は、金属加工と同じほど古い歴史があり、一般によく知られています。 金属の接合はにより金属を接合することは、正しい選択であるように「感じ」られますが、最適な選択ではない可能性があります。 工業用接着剤には、他の工業用接合方法をしのぐ6つの重要な利点があります。

    1. 穿孔・穴あけが不要 – 穿孔は時間がかかり、被着体に穴を開けるとその部分の強度が弱くなり、腐食を招く可能性があります。
    2. 接合面全体に均等に応力を分散 – 1か所または何箇所かの接合部分に応力が集中するのではなく、被着体の接合面全体に均等に応力がかかります。
    3. より薄く、軽い材料を使用可能 – 接着面全体に応力が分散されるので、被着体に接合部品の応力集中を吸収するための厚みは必要ありません。
    4. 異種材料の接合と分離 – 特定の機械的接合方法は金属以外の被着体には有効に使用できません。また、2種類の金属が接触すると腐食の問題が発生する可能性があります。
    5. 接着とシールを同時に実現 – 接着剤は物の接合だけでなく、液体の侵入や漏れを防ぐこともできます。
    6. 振動の吸収 – 弾性接着剤は、振動を伝えるのではなく、消散させる効果があります。

     

  • 溶接 / ろう接 / はんだ付け(熱接合)と接着接合の比較

    溶接 / ろう接 / はんだ付け(熱接合)と接着接合の比較

    溶接などの熱接合は、消耗材が安価であり、通常、硬化時間が不要で処理が速く済むため、市場で一般に利用されています。 熱接合も接着接合も、適切に処理した場合、高い接着力とシール性を発揮しますが、 熱接合に比べて接着接合には次のようないくつかの利点があります。
     

    1. 異種の金属を使用可能 – 異種の金属を分離し、ガルバニック腐食を防ぎます。
    2. 接合のやり直し – 接着接合は比較的分解、やり直し、修復が容易です。
    3. 人件費の削減 – 接着接合の場合、比較的少ない研修や専門知識で、良好な接合を実現できます。
    4. 美観の向上 – 接合加工によって被着体に変形や変色が生じません。
    5. より薄い被着体を使用可能 – 被着体となる金属が変形しないため、より薄くなっても強度を維持できます。
    6. 光熱費の削減 – 熱接合はエネルギーを大量に消費します。
    7. 作業環境の改善 – ほとんどの接着剤は室温で塗布できます。

金属接合時の注意点

実際の工程で金属を接合する最適な方法を検討する場合、硬質/軟質、腐食、熱暴露、応力集中など、様々な要素を考慮する必要があります。

  • 硬質 / 軟質
    硬質 / 軟質

    硬質接着剤は力を効率よく伝えます(ゴルフクラブのシャフトからヘッドへ、など)。 軟質接着剤は、力(旅客車の振動など)を消散させて、構造物への悪影響の低減に寄与します。 接着剤によって硬質/軟質の程度に違いがあるため、実際の用途に最適な接着剤を選定できます。

  • 腐食
    腐食

    イオン化傾向の大きい金属から小さい金属に電子が移動すると、ガルバニック腐食が発生し、どちらの金属もさびや孔食による外観の劣化や材料破壊が起こります。これは、金属的接合法を用いて電子が移動しやすい状態であるときに、特に問題になります。 接着剤なら異種の金属を接合できるだけでなく、薄い遮断層を形成してこの腐食を防止します。

  • 熱暴露
    熱暴露

    加熱や冷却による膨張・収縮率は材料によって異なり、これが構造体に重大な影響を及ぼす場合があります。 十分な弾性を備えた接着剤であれば、2種類の金属間であれ、金属と非金属(ガラスや木、プラスチックなど)の被着体間であれ、このような応力をある程度吸収できます。

  • 応力集中 / 穿孔
    応力集中 / 穿孔

    穿孔は時間がかかるだけでなく、被着体の強度を弱め、穴の端部に応力集中を招きます。 一方、接着剤なら、すぐに塗布でき、接合面全体に均等に応力が分散されます。


接着テクノロジー

金属の接合に最適な接着剤とテープをいくつかご紹介します。 被着体と用途の要件に適した、強度と耐久性を持つ接着剤を選定することが重要です。

  • ねじなど外観に影響する接合方法に置き換えて、3M™ VHB™ テープを使用することで、製図でイメージしていたとおりの建造物を建築できます。 3M™ VHB™ テープはアクリルフォームの両面テープで、すばやく簡単に貼り付けられ、強度と耐久性に優れ、経時で接着強度が増していく接合を実現できます。3M™ VHB™ テープは、さまざまな異種材料の被着体の接合に対応できます。

  • 2液混合型の3M™ Scotch-Weld™ 構造用エポキシ接着剤は、高い強度、耐久性を持ち、高温でもたしかな接着力を発揮します。化学的劣化への耐性もあるため、工業用途に最適です。 この強力な接着剤は耐衝撃性に優れ、航空宇宙産業から建設・建築、輸送産業に至るまで、さまざまな産業での自由な製品設計を可能にします。

  • 3M™ Scotch-Weld™ 構造用アクリル接着剤は、硬化時間が短く、美観を向上できる、強度と耐久性の高い接着を実現し、生産性と性能を高めます。 この強力な接着剤は耐衝撃性に優れ、臭いの少ないタイプや、常温保管でライフの長いタイプもあります。

接着接合製品選定ツール
接着接合製品選定ツール

組立のタイプ、被着体、必要な接着強度など、組立についての基本的な条件を入力してください。 [結果を表示]をクリックすると、入力された条件を基にお勧めの3Mのテープと接着剤が表示されます。

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異種の金属の接着接合

金属は接合しやすい材料ですが、種類により独自の性質を持ちます。 ここでは、主な金属の種類を紹介します。

  • ステンレス鋼
    ステンレス鋼

    ステンレス鋼は、炭素やその他の金属を混合して耐食性を持たせた鉄合金です。 家庭用調理器具、食器(ナイフ、フォーク、スプーン)、業務用厨房器機、食品加工機器によく利用されています。また、手術用器具のほか、自動車や航空宇宙産業用途、汎用産業機器や建造物の外観づくりにも活用されています。 ステンレス鋼は接合しやすい材料ですが、汚れやほこり、指紋、機械油などを除去するため、洗浄が必要になる場合があります。

  • 鋼

    鋼は、強度を高めるために少量の炭素を添加した鉄の合金です。 鋼の表面は、通常、接合前または接合後に、亜鉛(亜鉛めっき鋼)か何らかの塗料でコーティングして腐食を防止します。 接合前にコーティング処理を行う場合、接着剤は鋼そのものではなくコーティング部分に接着することになります。これは、表面エネルギーと接着剤のぬれの良さに影響します。 コーティング処理や塗装処理にも対応できるように開発されている接着剤やテープもあります。

  • アルミニウム
    アルミニウム

    アルミニウムは比較的軟質で、耐久性、軽量性が高く、延性と展性に富む金属で、容易に機械加工、鋳造加工、引抜加工、押出加工が可能です。 ほとんどの場合、機械的特性を改善するために合金化されます。 アルミニウムは、地金が空気に触れると、直ちに酸化アルミニウムの被膜が形成されるため、高い耐食性を持ちます。 アルミニウムは、多くの場合、汚れやほこり、指紋、機械油などを除去するため、洗浄や研磨が必要になります。

  • 銅含有金属
    銅含有金属

    銅は柔らかく、展性と延性に富み、電気伝導と熱伝導に優れた金属です。 銅は腐食しやすいため、特に他の金属など、腐食を誘発するか腐食のリスクを高める材料とは接触しないようにします。 銅や、銅の合金である真鍮や青銅など、長期にわたり腐食する可能性がある金属の場合は、接着剤の選定にあたり特別な考慮が必要です。 3Mは、腐食を促進せず、銅にも使用できるよう、特殊な配合をしたテープや接着剤を開発しています。


接着・接合・組立の種類

最適なパフォーマンスの接着剤を選ぶには、通常、接着・接合・組立の種類を考慮することが有効です。 以下の6つの接着・接合・組立の種類のそれぞれに設計特性があり、多くの場合、それらが最適な接着剤やテープを選ぶ決め手になります。


信頼できるソリューションで自信を持って設計する

精密、迅速な加工で、高い強度を発現できる接着接合製品を、革新的な製品作りにご活用ください。 3Mのエキスパートが、お客様に最適なソリューションをご提案し、耐久性に優れた接合実現のお手伝いをいたします。