では、ウインドウフィルムは期間としてどのくらいで交換を検討すればよいのでしょうか。当社技術担当者に聞いてみました。
「 私たちは、内貼りのウインドウフィルムの場合、使用開始から10年から15年を目安に交換を行うことをお勧めしています。 ただし、この期間はあくまで目安であって、貼ってから20年、30年経っても大きな異常がみられず、使用できる場合もあれば、用途によってもっと短い期間で劣化が進んでしまう例もあります。
使用する製品の種類よる違いもあります。たとえば、部屋の中からガラスに貼る内貼りに比べ、屋外から貼る外貼りフィルムは、外気や雨、紫外線などの影響を受けやすいため、寿命は短くなり、だいたい5年から7年が交換時期の目安となります」
目安となる期間はあるものの、使用方法により経年劣化の進行は様々に変わるようです。では、劣化を早める要因となる使用状況にはどのようなものがあるのでしょうか。
「最も劣化が激しくなるのは、熱がこもる場所、湿気が多い場所での使用です。窓ガラスの前に機械や板が据え付けられているなどといった状態だと、とくに夏季、フィルムの表面が非常に高温となり、常に50度から60度になってしまうこともあります。また、換気が悪く、湿度も高くなりがちです。
そのような場所で使用すると、フィルムの経年劣化は早まり、10年を待たず交換時期が訪れることがあります。ただ、建物や設備の状況により、そのことをご承知のうえで、使用せざるを得ない状況もあるでしょうから、その際はフィルムの劣化状況についてこまめにチェックしていただくようお願いしています」
そして、技術担当者が「意外に多い事例」と語るのが製品の選択の誤りです。
「屋外で使用するフィルムに、内貼り専用のものを選んでしまう事例があります。内貼りのフィルムは、紫外線がまず粘着剤に当たることが想定されています。一方、外貼りフィルムは、直接紫外線がフィルムに当たることになるため、紫外線による劣化を少なくするための素材・構造を採用しています。 内貼り専用のフィルムを屋外で使えば、通常の外貼り可能なフィルムの寿命である5年から7年の寿命よりも短くなってしまうことが避けられません。
ここで特に注意していただきたいのは、いわば『半屋外』と呼ぶべき場所。たとえばベランダの手すりや、ビルとビルの間の外部通路、外階段など、庇や屋根はあっても壁がない場所にあるガラスは、 屋外とみなして外貼りに対応するフィルムを使わなくてはなりませんが、プロの方であっても、製品の選択を間違える例が多いようです」
当社では、経年劣化に強く、寿命の長い製品にするため、様々な取り組みを行っています。その一部を、技術担当者から紹介します。
「有機材料は早かれ遅かれ劣化することが避けられないものですが、 当社ではフィルムの基材をはじめ、そのほかの材料に関しても、耐久性を高めるための製品開発、評価を行っています。
たとえば、フィルムの劣化の大きな原因に、表面の傷があります。ウインドウフィルムの基材として使用されるPETは、細かい傷がつきやすく、これが外観面、性能面の劣化の原因となっています。 当社にはハードコーティングの技術があり、傷付き対策をしながら、フィルム全体の経年劣化の進行を遅くすることに成功しています」
ウインドウフィルムのメリットを十分に享受するためには、適切な製品を正しい用途で利用すること、そして交換時期を見逃さないことが重要です。では、外観だけではわからないフィルムの劣化状況を調べるにはどのような方法があるのでしょうか。
「ウインドウフィルムの業界全体での取り組みとして、『貼り替え診断』を推進しています。診断では、粘着力やフィルムの強度、その他製品ごとの性能の劣化状況を調査し、使用方法のアドバイス、劣化が進んでいる場合は交換をお勧めしています。利用開始からだいたい10年が近づいてくるタイミングで、お使いのフィルムの総点検を実施していただきたいと思います。ウインドウフィルムの技術も10年以上前とは大きく進化しています。たとえば、10年以上前に透明な飛散防止フィルムを貼っていたが、実は窓際から日差しが入って暑くてしかたなかった場合等、この貼り替えのタイミングで、新機能を持った製品(透明で飛散防止機能もありながら、暑さ対策までできてしまうフィルム等)に貼り替える等、よりお客様のご要望に見合った対策がとれる機会ができると考えることもできます。」
ウインドウフィルムをよい状態で、長く使うためには、適切な製品選び、使用法、定期的な点検が重要です。個々の製品の性能、耐用年数についての詳細な情報、使用方法に関する確認、貼り換え診断等の実施等に関しては、お気軽に当社にお問い合わせください。