目立つ大きさになった水残りを見ていると、「このままで大丈夫?」「今後、目立たなくなってくれるのだろうか?」と不安になるものです。では、この水残りは貼付後、どのように変化していくのでしょうか。
「水残りは時間が経つと消えていきます。というのも、ウインドウフィルムには水が表面から抜ける『透過性』があるからです。フィルムの表面から、あるいは端から自然に水は抜けていき、空気が入っていなければ完全に消え、跡も残りません。水残りは当然起こるものであり、起こったとしても、それほど心配するものではないということをまず知っておいていただきたいと思います。
ただし、水残りがなかなか消えない場合もあります。その原因としてまず挙げられるのは、水抜きが十分でなく、水残りの量が多い場合です。当然のことながら、水の量が多ければ、それがすべて蒸発し、抜けていくためにはより長い時間を要します。
水残りの大きさの目安として、私たちは、だいたい500円玉の大きさであれば、大きな問題はないと説明しています。もちろん、500円玉以上の大きさであっても、時間をかければ抜けていくのですが、水の中には少量の空気が含まれていることがあり、水の量が多いと、それが集約されることで目に見える空気残りが発生してしまうことがあります。大きい水残りがある場合は、空気が残っていないかということを含め、その後の様子を注視する必要があると思います」
水残りは基本的に心配する必要がないものではありますが、なるべくなら小さくしたいのは当然。そして、最も怖い空気の侵入も、水を施工時にしっかりと抜くことで防ぐことができます。フィルムをきれいに貼付するには、施工の際、どのようなことに注意すればよいのかを聞いてみました。
「道具の選択が大切です。フィルムの貼付の際、圧力をかけるためにスキージーが使われますが、なるべく幅が狭く、先端のウレタンゴムが硬いものを利用すると圧力がかかりやすくなります。
ゴムが柔らかいスキージーの方が、先端に傷がついた時に、加工などのメンテナンスがしやすかったり、また幅が広いほうが作業に時間がかからなかったり、といった事情があり、施工担当者の方に好まれる傾向があるのですが、私たちは硬くて幅の狭いスキージーを使用することをお勧めしています。
とはいえ、それについても、それほど心配はしなくて良いと思います。フィルムの施工はそもそも難しいものではなく、施工方法に大きな間違いがなければ外観上の重大な問題は起こりません。
当社では、ウィンドウフィルムの施工方法や注意点を記載したマニュアルを、ホームページで公開しておりますので、ぜひ参考にしてください」
施工後に、多かれ少なかれ発生する水残り。なるべくなら早く消したいものです。そのために何か打つ手はあるのでしょうか。
「フィルムの水残りが消えるまでの時間は環境によって大きく変わります。水残りが消えるまでの時間を短くするには、フィルムに水を透過させ、蒸発しやすくする環境をつくることが大切です。環境を調整するのは、水が透過していく側、つまり内貼フィルムの場合は室内ということになります。具体例として、3つの方法を紹介しましょう。
これらの方法によって、水が抜けるまでの時間を格段に短くすることができます。逆に、比較的小さな水残りであっても、室内の湿気が高かったり、結露があったり、冬場など部屋の温度が低い環境であった場合は、水が抜けるまでに数カ月を要する場合もあります。よい環境が整っていれば、500円玉の大きさ程度の水残りは、次の日にきれいになくなってしまうことも多いようです」
飛散防止などの機能を確保するため、またデザイン上のニーズから、ウインドウフィルムの利用が最適であると思われるケースであっても、水残りについて心配し、採用に二の足を踏んでいる方もいらっしゃるようです。
水残りは基本的に避けられないことですが、正しい施工方法と、水をはやく抜くための環境のケアをすることができれば、全く心配ありません。
私たちは、設計者の皆様と協力しながら、利用者の方々が持つフィルムに関する不安を解消することが重要であると考えています。当社では、製品ごとに水の透過性などのデータ、建物・お部屋の環境に合わせた施工方法など、様々な情報提供を行っています。ぜひお問い合わせください。