• 電磁障害 (EMI) に対する3Mのソリューション

    4月 29, 2022

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    3Mは、製品開発における数十年にも及ぶ電磁障害(EMI)への対処経験を通じて、電子機器の性能向上を実現してきました。そのような製品には、大きく分けてシールド、ノイズ抑制シート、グラウンディング材料があります。

    EMIの背景

    私たちの身の回りの電子機器は、意図する場合、意図しない場合を含め、さまざまな周波数の信号を発信しています。コンポーネントやRFシステムなど、多くの電子機器に干渉し、性能や通信品質を劣化させたり、ときには完全な故障の原因となったりする電子の放出をEMIといいます。EMIをRFI(無線周波数干渉)と呼ぶこともあります。

    デジタル通信におけるシャノンの定理

    情報機器で見られる傾向として、データの処理や転送を高速化するために、動作周波数は一貫して向上し続けています。これにより、より高密度でコンパクトなパッケージ内で処理性能が向上しています。

    データ転送においてEMIによって制限されるデータレートの上限を表すのがシャノンの定理です。この定理は、データチャネル帯域幅 (BW)を拡大するか信号対雑音比 (SNR)を高くする(あるいはその両方を行う)ことでデータ転送レートを向上できることを示しています。つまり、以下が成り立ちます。

    上記のシャロンの定理において、BWはデータチャネルの帯域幅(Hz単位)、SNRは信号強度と雑音レベルの比率を表します。BWを拡大するには高周波数帯(C帯やミリ波など)で利用可能なスペクトルを拡大する必要があり、SNRを高くするにはEMIの雑音レベルを減らす必要があります。すなわち、シールドの改善、EMIの吸収、それまで許容可能であった高調波と相互変調ひずみ(以下のHxとPIM)に起因するEMIのさらなる低減が必要となります。

     

    信号対雑音比の計算

     

    信号対雑音比 (SNR)の向上が重要な理由

    SNR向上の必要性を理解するために、以下に示す、データ密度を(左側から右側に向けて)高くしていった場合に転送されるシンボル1個を表した図について考えてみましょう。この図でそれぞれの点は、転送されているシンボルの値を表します。シンボルを正確に解釈するために、それぞれの値はすぐ隣にある値と明確に区別できる必要があります。左側の最も密度が低いシンボルの場合、一番下の行のようにかなり多くの雑音があっても送信が可能です。ただし、1ビットのシンボル(左下)では許容できる雑音レベルは4ビットのシンボル(16個の値)では許容できず、4ビットで許容できる雑音の最大値は右側の8ビットのシンボル(256個の値)の通信では許容できません。なお、現在の5G規格には最大1024個の値を含むシンボル(1024直角位相振幅変調、1024 QAM)が含まれています。

    snr formula, signal to noise ratio

    Image credit: www.sharetechnote.com

     

    • EMIの影響を受ける市場
      • 家電
      • 5Gインフラ
      • その他:自動車、医療、防衛、工業
    • お客様/市場のニーズ
      • シグナルインテグリティの向上
        •  信号対雑音比の向上
        •  PIM(相互変調ひずみ)の低減(4G/5G)
      • ネットワークの受信範囲の拡大
      • ネットワーク容量の拡大
      • データスループットの向上
      • 切断される通話の低減

    EMIの制御方法

    シールドを行うには、問題の原因となる機器(EMIの発生源)または問題の被害を受けやすい機器(あるいはその両方)を導電性筐体によって隔離します。ただし、シールドは低周波帯ではあまり魅力のないソリューションとなる場合があります。導電体にRFエネルギーの表皮効果が存在することにより、その効果が失われるからです。表皮効果は周波数が下がると大きくなります。表皮効果が金属シールドの厚さのかなりの割合に達すると、シールドの効果は失われます。そのため、一般にシールドが最も効果的なのは10 MHz以上の周波数になり、それより低い周波数ではシールドの厚さと重量が大きくなりすぎ、多くの用途に適さなくなります。シールドのもう一つの欠点として、EMIはほとんど(またはまったく)減衰せずにシールドから反射されることが挙げられます。反射されたエネルギーにより、影響を受けていた当初の機器以外のコンポーネントで予期しない問題が発生する場合があります。

    機器内でバイアスの発生を防ぐには、効果的で低インピーダンスのグラウンディングが非常に重要です。これを図式的に示したのが以下の図です。最近、機器内のバイアスに加えて注目されているは、接地電流が線形性の不十分な導電性インターフェースを通過する際、HxとPIMが問題となるレベルで発生する問題です。そのようなインターフェースは、導電性テープ、ガスケット、または場合によってはピンやねじとの接続部で見られることがあります。そのため、多くの高性能機器では、PIMとHxの発生を抑えるように製造された材料や材料の組み合わせを選択することが重要になります。

    EMI shielding and grounding

    EMIの吸収は、磁気または誘電損失を有する材料を使用することで行われます。一般に、低周波数(1 GHz程度未満)では磁気損失が多く使用され、高周波数(6 GHz程度超)では誘電損失が多く使用されます。アブソーバーはEMIエネルギーを熱に変換するため、そのエネルギーが(シールド時に生じることがある)想定外の問題の原因となる可能性が低くなります。アブソーバーとシールドは、それぞれ単独ではすべての繊細な部品を保護できない場合に組み合わせることがよくあります。3Mは、KHz範囲から最大80 GHzまで、お客様のそのようなニーズに対処できる広範なアブソーバーを取りそろえています。

    3Mは電子機器のEMI制御における長年培った専門知識を利用して5G通信インフラ全体の雑音低減をサポートします。これにより、お客様は顧客に対して高い品質の5G接続の提供が可能になります。

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