“8020(ハチマルニイマル)運動”をご存知ですか?
1989年より厚生労働省と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上の自分の歯を保とう」という運動です。20本以上の歯があれば、食品の咀嚼が容易で、食生活にほぼ満足することができると言われています。
2016年の厚生労働省の調査では、この「8020(80歳で20本以上の歯が残っている)」の達成者は51.2%で、前回調査時より10%以上増加しています。(厚生労働省「平成28年歯科疾患実態調査」より)
健康な歯を保ち、楽しく充実した食生活を送りたいものですね。
健康な歯を保つには、自宅でのケアだけでなく、定期的な検診や治療も必要ですが、“歯医者”と聞くと、幼少期の虫歯治療や検診の光景がよみがえる人も少なくないのではないでしょうか。大きな音や独特の匂い、痛みまでも鮮明に思い浮かぶかもしれません。
しかし、現在は歯科材料も格段に進化し、最小限の治療やケアで最大限の効果を出すことが可能になっているため、短い時間できれいな歯を手に入れられる時代になっています。
ヘルスケア領域では医療用テープやマスク、手術室向け製品などが広く認知されている3Mですが、実は歯科領域にも様々な製品をお届けしています。
今回は数ある歯科用製品の中から、2つピックアップしてご紹介いたします。
歯科医院で、歯型を採るために粘土のようなものを長時間噛んだ経験はありますか?あの粘土のようなものは「印象材」と言い、より正確な歯型を採るには一定時間噛み続けなければなりません。歯型採取中は長時間口を開けておく必要があるため患者側に負担が大きいだけでなく、印象を採る術者による手技のばらつきによって精度のばらつきが発生し、差し歯などの技工物の精度に影響します。
そこで登場したのが、高精度の口腔内スキャナーです。3D形状をスキャンできる特殊なデジタルカメラを口腔内に差し込み、歯型をスキャンします。長時間口を開けずとも数回に分けてスキャンすることが可能なため患者の負担が軽減でき、また、そのままデータで管理し、差し歯などの技工物を作製できます。
「3M™ トゥルー デフィニション スキャナー」は、印象採取における精度・時間・治療・負担など様々な課題を解決できる、口腔内スキャナーです。
“トゥルー デフィニション”とは、「トゥルー=実物そのものの」、「デフィニション=解像度」を意味し、誤差0.3%以内(3M社内調査による)の高い精度で印象採得できることを指します。
最大直径2.4cm、カメラ部分の厚みは1.4cmと非常にコンパクトで、スキャンスピードは約60秒(成人下顎フルアーチのスキャンにかかる時間、3M調査)と短時間で済みます。
採取後のデータはワイヤレスネットワークで送信され、クラウドシステム上で管理されるため、時間のロスなく技工物の作製に進むことができます。過去のデータを検索したり、患者への説明にも使用でき、“次のスタンダード”と注目されています。
販売名:3M トゥルー デフィニション スキャナー 承認番号:22700BZX00088000
歯科医師が使うプロ向け材料を開発してきた3Mが、これまで培った技術と経験を活かし、「歯の再石灰化」に着目して開発した“歯磨きペースト”があるのをご存知ですか?
飲食によって口の中が酸性になると、表面が溶けることで歯が弱まりますが、だ液に含まれる「カルシウム」と「リン」が溶け出した部分を修復して、虫歯になるのを防ぎます。これを「再石灰化」といいます。
ストレス、飲酒、喫煙、アレルギー薬、加齢などが原因でだ液は少なくなると言われており、“フッ素入り”の歯磨き粉などで再石灰化を促進させる動きも近年出てきています。
「クリンプロ™ 歯みがき ペースト F1450」は、歯質を強化して酸に溶けにくくする「フッ素」に加え、再石灰化を促進する 「カルシウム」と「リン」を同時配合しました。 一般的には、カルシウム、リン、フッ素の3成分を同時配合すると、再石灰化の効果を十分に発揮させることができないのですが、3M独自の新技術により、3成分同時配合を業界で初めて※1成功させ、従来品の約2倍※2の再石灰化効果を実現しました。
※1 高濃度フッ素1450ppmとカルシウムとリンを同時配合した歯科医院専売の歯磨剤として。2018年8月時点3M社内調査
※2 自社従来品(pHサイクル前後のビッカース歯面硬度の変化)との比較
販売名:クリンプロ トゥース クリーム α s(ソフトミント フレーバー)、クリンプロ トゥース クリーム α c(シトラスミント フレーバー) 医薬部外品
3Mで最初にヒットしたフッ素化学製品は、実は撥水スプレー。フッ素の入った瓶を落として新品のテニスシューズにこぼしてしまった研究者が、洗っても取れない!と大慌てしたところから発想を得て、撥水スプレーとして製品化されました。それが「スコッチガード™ 製品」の始まりで、1940年代より研究が続けられています。
今回ご紹介した他にも、矯正歯科用製品も展開しています。口を開けたときに見えにくい歯の裏側(舌側)にセットできる矯正用ブラケットやワイヤー、矯正装置の固定が短時間で容易に行えるシステムなど、歯列矯正における患者と医師双方の負担を軽減し、高い審美性を実現する製品をお届けしています。
5万5,000種類を超える3Mの製品群。その圧倒的な製品開発力を支えているのが、「テクノロジープラットフォーム」と呼ぶ、汎用性の高い46の技術基盤です。
歯科用製品を支えるテクノロジーは、「エレクトロニクス&ソフトウェア」「フッ素化学」「歯科材料・歯科矯正用材料」です。
口腔内スキャナーと同じ「エレクトロニクス&ソフトウェア」のテクノロジーを活用しているのが、電子聴診器です。周囲の雑音の低減や、微弱な聴診音の音響増幅機能、聴診音の録音機能などを持ち合わせている次世代の聴診器です。