知っておきたい医療環境のトピックス
「知っておきたい医療環境のトピックス」では、「医療再編」と「チーム医療」を中心に、医療環境の様々なトピックスについてわかりやすく解説します。各トピックスは2段階構成となっています。前段は全体の概要を文章で解説し、そのあとに図表などの資料を用いてQ&A方式で紐解きます。資料は全てダウンロードしていただけますので、ご自由にご活用ください。
＜トピックスの骨格＞
団塊の世代が後期高齢者になる2025年問題、高齢者人口がピークに達する2040年問題に対応する「地域包括ケアシステム」は、2014年の「医療介護総合確保推進法」によって軸が固まり、2018年にはW改定だけでなく、医療法改正、地域医療構想など、多くの医療・介護制度改革が同時にスタートした「医療制度改革の惑星直列」を経て、本格化してきました。
一方、医療従事者にとっては、「医師の働き方改革」の影響によって、医療従事者全体がタスクシフトの名のもとに業務の見直しや配置の見直しが求められています。
医療現場に求められている、病院の機能分化、在宅医療、チーム医療などを推進するためには、ますます複雑になる医療環境の理解が重要になってきています。
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医療環境に影響する要因を「5つのG」の視点で整理します。
Genba（現場）・・・・医療現場での課題、声
Genbutsu（現物）・・・製品、サービス、手順
Gakkai（学会）・・・・ガイドライン、文献、第一人者の発信
Gyousei（行政）・・・・厚労省―診療報酬、医療法、医療事故、医療再編
Gyoukai（業界）・・・業界団体の動向、規制緩和、コンプライアンス周辺の3つのG（学会、行政、業界）に注視することが大切です。周辺の3つのGによって中心の２G（現場、現物）の環境が変わったときには、速やかに経営方針、治療指針、看護手順、チーム医療マネジメント、薬品や医療材料の見直しが必要となります。多岐にわたる医療従事者の知識の整理と共有の一助になればと思います。
各トピックには5Gとの関連は記しませんが、常にこの５Gを意識して解説しています。 -
トピックス一覧・資料ダウンロード
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日本看護協会が認定する認定看護師、専門看護師に代表される専門性の高い看護師は、チーム医療の中心的な役割として大きな期待と責任を歴史的に担ってきました。「地域包括ケアシステム」の実現のため2014年には「医療介護総合確保推進法」の中で特定行為研修が新設され、診療看護師・NPなどの資格も併せて医療関係者に広く認知されることになりました。看護師の専門性の主たる資格制度について解説をいたします。 -
特定行為研修は、2014年「医療介護総合確保推進法」の一つとして新設され、「2025年に10万人をめざす」という目標でしたが、現在は2023年度に1万人（パッケージ研修を含む）と設定しなおされています。Eラーニングを軸に、働きながら一区分ずつ、仕事場に近い研修施設（病院）などで実技研修などをして修得するというのが基本的な思想になっています。4つのパッケージ研修のうち、3つは急性期病院向けのものになります。 -
日本全体で「働き方改革」が推進されていますが、このトピックスでは「医師・医療従事者の働き方改革」特有の2つの特長について解説します。一つ目の特長は、「地域医療構想」「医師偏在対策」「医師・医療従事者の働き方改革」を「三位一体」で推進すること。二つ目の特長は「医師・医療従事者の働き方改革」の中心は「医師の働き方改革」であることです。 -
単回使用の医療機器の医療機関内での「再滅菌」に対しては、厚生労働省からもたびたび警鐘の通知が出ていますが、なかなかなくならないのが実情です。2017年7月に、世界の動きにあわせるべく、単回使用の医療機器の「再製造」を認める通知が発出しました。これは、医薬品医療機器等法（薬機法）は改正せずに、現状の法の中で運用を認めたものです。ポイントは、医療機関内での「再滅菌」が認められたことではないことです。あくまで「再製造」としての「業」の許可が必要です。 -
診療報酬は、医療機関の経営に直結する医療行為の価格表です。診療報酬は複雑ですが、基本は「出来高」になります。出来高とは、医療行為を積み上げていくもので、その中に各種の加算もあります。DPC病棟や療養病棟が「マルメ」と呼ばれるのは、出来高の項目の一部が「包括」で支払われるからです。DPC病棟で「倹約」「削減」をすると、次回の改定で点数が下がる可能性があること、DPC病棟と療養病棟では包括される項目が違うこと、そしてなにより、急速に病棟が増加している「地域包括ケア病棟」 や「回復期リハビリテーション病棟」の方が、実質的な包括（マルメ）の項目が多いことを理解すると、見え方が変わってきます。 -
診療報酬は、医療機関の経営に直結する医療行為の価格表になります。 今回は、DPC制度、看護必要度、病棟機能ごとのトピックスを解説します。 2018年、2020年の2回の診療報酬の改定で、今後の看護体制の運用が固まってきました。厚生労働省は、多すぎると考えていた7：1 の病床数の削減を目的として、これまでも看護必要度、平均在院日数、在宅復帰率などの項目の新設や基準の引き上げなどのハードルを設けていましたが、削減効果はほとんどなく、約90万床の一般病床数のうち、30万床を越える7：1 の病床数で高止まりしている状況でした。 2018年の改定では、新たに10：1でも高い点数（急性期一般入院料2・3）を設定し、7：1 からの移行を促しました。 -
地方厚生局や厚生労働省によって実施される各指導や適時調査は、皆さんが一番気になるイベントだと思います。適時調査は、本来は毎年実施することが原則ですが、人員の関係で3年に1回くらいが多いのです。 指導と適時調査を合算した返金総額も全国で100億円を越えていたため、当局から連絡が来ると医療機関全体でピリピリ感が一気に増します。 一方、適時調査での指摘項目や指摘コメントについて、各県で大きなばらつきがあり、以前から問題になっていました。そのため2016年度の適時調査から、全国で一律のマニュアルでの運用となり、調査項目と準備資料も事前に医療機関に統一して通告して準備させることで、そのバラつきや不適切な指摘を回避するように改善されました。その実施要項（マニュアル）が2018年4月に厚生労働省のサイトに公開され、適時調査の透明性が一気に上がりました。 -
チーム医療と一言で言っても、人によってイメージは異なります。診療報酬の規定の視点で、大きく3つに分類して考えると理解しやすいです。 各チーム医療の算定状況にも特徴があります。医療安全対策加算、感染防止対策加算のように、専従の「加算1」、専任の「加算2」の2段階あり、全患者にもれなく算定できるチーム医療については、全国8400病院のうち、医療安全対策加算、感染防止対策加算とも3900～4100病院程度で算定されています。裏を返せば、医療安全対策や感染対策というチーム医療の基軸の加算でも、半数以上の医療機関では算定していない状況ともいえます。また、認知症ケア加算では、3600病院程度が算定しています。今後、ますます高齢者の比率が高くなることから、算定する病院数はまだまだ増えると思います。 -
医療機関には、多くの審査があります。医療法に基づく「立入検査（医療監視）」、健康保険法等に基づく「指導」・「適時調査」が代表的ですが、この2つは目的が違います。医療法に基づく「立入検査（医療監視）」は、医療機関の設備、組織、運用などをチェックします。2007年から医療法の運用のなかで、医療安全対策と感染対策が義務化されたため、チーム医療関連でも、この2つは、どの医療機関でもとくに重視しています。健康保険法等に基づく「指導」・「適時調査」では、診療報酬が適切に運用されているかをチェックします。「立入検査（医療監視）」と「指導」・「適時調査」は、公的な検査・調査・指導なので強制力があります。 -
Q1:医療安全対策に関する組織名や役職名は、医療法や診療報酬で決まっていますか？ Q2:医療法と診療報酬の関係を教えてください。 Q3:医療安全対策関連の制度の経緯の概要はどのようなものですか？ Q4:医療法で規定されている医療安全対策の概要は？ Q5:Q4の①「安全管理のための体制の確保」のポイントは何ですか？ Q6:医療法の②「院内感染対策のための体制の確保」のポイントは何ですか？ -
「知っておきたい医療環境のトピックス」の連載では、時事の医療環境全般のトピックを解説しています。今号では、医薬品と医療機器の「薬事承認」と「診療報酬（保険償還）」との関係について、日本で初めて「予防目的」で保険収載された医療機器である「PREVENA® 切開創管理システム」を題材に解説します。（製品説明ではありませんので、製品については別途ご確認ください。） -
医療現場では、以前に比べると格段に委員会や研修が多くなってきていることを実感していることと思います。もちろん、医療の質の向上のための自主的な活動もありますが、ここ数年、診療報酬で義務付けられている研修が増えてきています。端的言うと診療報酬を算定するためには研修を受ける必要があると言うことです。その研修については、2つに大きく分類できます。一つは、診療報酬の施設基準等で、専任の医師や、専任の看護師等に義務付けられている外部団体（学会等）の研修、もう一つは、医療法や診療報酬のチーム医療関連で規定されている院内の職員を対象とした研修です。今回は、代表的なチーム医療である「医療安全対策」「感染対策」「褥瘡対策」の3つを題材に、院内の職員研修について解説します。 -
最近は、病院内に大手のコンビニエンスストアが併設されることも多く、そこでは、ドラッグストアなどでは手に入らない医療材料・衛生材料も販売されており、患者の利便性や医療の質の向上に役立っています。今回は、患者へ自己負担させてよいものといけないものについて、医療材料に着目して整理します。
